大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」で、小芝風花さん演じる五代目瀬川が話題となっています。その艶やかな演技は、多くの視聴者を魅了しています。今回は、五代目瀬川とは一体どんな人物だったのか、そして当時の吉原遊郭の実態について、ドラマの内容と史実を交えながら詳しく解説していきます。
吉原を彩る花魁、五代目瀬川
ドラマでは、蔦屋重三郎（横浜流星）が出版した吉原ガイドブック『吉原細見 籬の花』の成功に、五代目瀬川を襲名した花の井（小芝風花）の貢献が大きく描かれています。名跡襲名と出版が重なったことで、吉原は大盛況となったのです。
alt 小芝風花演じる五代目瀬川の艶やかな姿
ドラマのストーリー展開は創作の部分もありますが、五代目瀬川が当時吉原を代表する花魁であったことは史実です。彼女は、吉原の中でもトップクラスの人気を誇っていました。歴史評論家の香原斗志氏によると、「五代目瀬川は、盲人の鳥山検校に高額で身請けされましたが、二人の生活は長くは続きませんでした」とのこと。
吉原からの脱出「身請け」とは？
ドラマの中で、蔦重は瀬川に武家や商家への身請けを勧めます。吉原の女郎は原則10年の年季奉公が義務付けられていましたが、「身請け」は年季が明ける前に吉原から抜け出す唯一の合法的な方法でした。客が女郎屋の持つ年季証文を買い取ることで、女郎の身柄を引き取ることができたのです。
身請け金は女郎屋の言い値で、高額になることも少なくありませんでした。五代目瀬川も、鳥山検校に1400両という高額で身請けされています。
逃亡の代償「足抜」
しかし、高額な身請け金は誰もが払えるわけではありません。ドラマでは、身請け金が払えず「足抜」（逃亡）を図る者も描かれています。吉原は厳重に警備されており、逃亡は困難を極めました。捕まれば、男は暴行、女郎は激しい折檻を受けました。
alt 六代目瀬川の花魁姿
これは、女郎が女郎屋にとって貴重な財産であったこと、そして他の女郎への見せしめでもあったためです。逃亡は命がけの行為だったのです。
華やかさと厳しさの裏側にある吉原遊郭
五代目瀬川の物語を通して、吉原遊郭の華やかさと同時に、そこに生きる女郎たちの厳しい現実が浮き彫りになります。小芝風花さんの繊細な演技は、瀬川の心の葛藤を見事に表現し、視聴者の心を掴んでいます。
ドラマ「べらぼう」は、吉原遊郭の実態を理解する上で貴重な資料と言えるでしょう。当時の文化や社会背景を知ることで、五代目瀬川の物語をより深く楽しむことができるはずです。
