今国会の会期末(12月9日)まで1カ月に迫る中、与野党の攻防が激化している。8日の参院予算委員会の集中審議は、相次ぐ閣僚辞任などを受け、野党が安倍晋三首相の任命責任を追及。衆院外務委員会では日米貿易協定承認案をめぐって野党の一部が退席し、空転した。与党は承認案などの成立を急ぐが、衆院法務委員会などでは審議の見通しが立たない法案もあり、会期延長が現実味を帯び始めている。
「国政に遅滞が生じないよう全力を尽くす」
首相は集中審議で、閣僚の任命責任を問う野党に守勢を余儀なくされた。
大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入延期も野党を勢いづかせており、立憲民主の杉尾秀哉氏は「この問題を引っ張ったら持たないという政権の都合があったのではないか」と批判。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は「全くない」と反論し、火消しに追われた。
またとない“敵失”を受け、野党は攻勢をかけている。
8日の衆院外務委員会では、野党統一会派の岡田克也元副総理が、審議中の承認案をめぐって日米首脳会談の具体的な協議内容の公表を求めた。政府が拒むと、岡田氏は質問を打ち切り野党の一部が退席した。
自民党関係者は「相手方がある外交交渉の詳細な内容を出せるはずがない。岡田氏は外相時代に出していたというのか」と憤り、遅延戦術との見方を示す。森山裕国対委員長も「あまりに異常なことで筋が通らない」と批判し、外交委は質問者を待ち続ける「空回し」が行われた。