アメリカ合衆国は常に「世界の警察官」として振る舞ってきたのでしょうか?答えはNOです。特にドナルド・トランプ前大統領のウクライナ政策は、世界を驚かせました。2025年2月28日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談は決裂、鉱物資源の権益合意は白紙に戻り、軍事支援も一時停止されました。世界中、特にウクライナと欧州諸国は大きな不安に包まれました。日本でも批判的な意見が多く見られましたが、歴史的視点から見ると、トランプ前大統領の行動は必ずしも異例ではないのです。
アメリカ外交に流れる二つの潮流
アメリカ外交には、実は二つの大きな潮流が存在します。一つは、モンロー主義に代表される孤立主義。欧州の政治的紛争への不干渉を旨とする考え方です。もう一つは、20世紀に台頭した「リベラルな世界秩序」を主導する外交政策。いわゆる「ネオコン」もこの流れに属します。
alt(ドナルド・トランプ前大統領とウォロディミル・ゼレンスキー大統領。両者の会談は物別れに終わった。)
トランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」は、実は伝統的な孤立主義の系譜に位置づけられます。一方、ゼレンスキー大統領への対応を批判し、ウクライナへの連帯を表明した欧州。そこには、欧州特有の事情、つまり脆弱な安全保障環境が関係しています。
欧州の安全保障:アメリカの必要性
多民族・多文化・多言語国家の集合体である欧州は、歴史的に幾度となく戦争を繰り返してきました。二つの世界大戦で荒廃した欧州は、アメリカ主導の安全保障体制、NATOによって守られてきました。
しかし、NATOへのアメリカの参加は、実はイギリスをはじめとする欧州側の強い働きかけによるものでした。ソ連封じ込め政策の立案者、ジョージ・ケナンでさえ、欧州がアメリカを西欧防衛に巻き込もうとしていることに苛立ちを覚えていたと言われています。ソ連の脅威に怯える欧州が、アメリカの力を借りて対抗するという構図。これが冷戦構造の本質でした。
孤立主義と国際協調:揺れ動くアメリカ外交
トランプ前大統領のウクライナ政策は、アメリカの孤立主義的傾向を改めて浮き彫りにしました。国際協調を重視する勢力とのせめぎ合いの中で、アメリカの外交政策は今後も揺れ動いていくでしょう。 専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「アメリカの外交政策は、常に孤立主義と国際協調の間で揺れ動いてきた。トランプ政権はその揺れ幅を大きくしたと言えるだろう」と指摘しています。今後のアメリカ外交の行方に、世界中の注目が集まっています。