自民党の森山裕国対委員長は9日、会長を務める党鹿児島県連の集会で憲法をテーマに講演し、今臨時国会で憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案を成立させることに重ねて意欲を示した。集会には下村博文選対委員長も出席し、自民党がまとめた憲法9条への自衛隊明記を含む4項目の改憲案について理解を求めた。
「国対委員長として(国会の)憲法審査会をしっかりと議論できる場にしていかなければならない」
森山氏は鹿児島市内のホテルで開かれた集会で、今月7日に衆院憲法審で2年ぶりに自由討議が行われたことにふれ、こう訴えた。集まった約1千人の支持者を前に「国民投票法改正案については、何としても今国会で結論を出してほしいと強く思っている」とも強調した。
自民党は改憲に向けた機運を高めようと、幹部が相次いで全国各地で憲法集会を開催している。
先陣を切ったのは二階俊博幹事長で、10月18日に地元の和歌山県で1千人規模の憲法集会を開いた。岸田文雄政調会長も同月28日にさいたま市で地方政調会を開催し、改憲に向けた世論の喚起を図った。森山氏が今回、地元の県連の集会で憲法をテーマに据えたのも、こうした動きに呼応したものだ。
ただ、野党は依然として国民投票法改正案の採決には応じない構えで、改憲の是非を問う国民投票の際のCM規制のあり方も議論するよう主張している。国会で憲法本体の議論に入るまでの道のりは険しい。
安倍晋三首相の自民党総裁としての任期が2年を切った中で、国会での改憲議論は正念場を迎えつつある。(大橋拓史)