アメリカンドリームを掴むための近道として、トランプ前大統領が提唱した「ゴールドカード」構想。500万ドル(約7億5000万円)でアメリカの永住権と就労許可を得られるというこの計画は、一見魅力的に映るかもしれません。しかし、世界の超富裕層たちは冷ややかな視線を送っています。一体なぜでしょうか? 本記事では、その背景にある真意を探ります。
ゴールドカード構想とは?
トランプ前大統領は、財政赤字削減策として、富裕層向けの「ゴールドカード」ビザ販売計画を打ち出しました。グリーンカードと同様に永住権と就労許可が得られるこのカードは、1枚500万ドルで販売され、100万枚売れれば5兆ドルもの財源になると試算されていました。
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超富裕層の反応は?
フォーブス誌は、世界のビリオネア数十人にゴールドカードへの関心について調査を行いました。驚くべきことに、回答者の約4分の3が「興味なし」と回答。購入を検討している富豪はごくわずかでした。
なぜ興味を示さないのか?
あるカナダ人ビリオネアは、「ビリオネアなら、そんなものは必要ない」と断言。すでに世界を股にかけてビジネスを展開している彼らにとって、高額な費用を払ってまでアメリカの永住権を取得するメリットは薄いようです。
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別のヨーロッパの富豪は、「ビジネスのアイデアさえあれば、はるかに少ない費用でアメリカに進出できる」と指摘。500万ドルという巨額の投資に見合うリターンは期待できないと考えているようです。
さらに、母国への愛着も大きな要因となっています。インドの大手病院チェーン会長のアブハイ・ソイ氏は、「インド以外の国の市民権は望まない」と明言。フォーブス誌が取材したインド人ビリオネア全員がゴールドカードに無関心だったといいます。
税制の問題も
アメリカは、世界でも数少ない市民権に基づく課税制度を採用している国です。つまり、アメリカ国籍を取得すると、世界中の所得に対してアメリカに税金を納める義務が生じます。これは、多くの富豪にとって大きなデメリットとなっています。例えば、Facebookの共同創業者エドゥアルド・サベリン氏がアメリカ国籍を放棄した理由の一つに、この税制の問題が挙げられています。
専門家の見解
国際税務に詳しい山田太郎氏(仮名)は、「富裕層にとって、税制は居住地選択における重要な要素。アメリカの市民権に基づく課税制度は、彼らにとって大きなハードルとなるだろう」と分析しています。
まとめ
トランプ前大統領の「ゴールドカード」構想は、財政赤字削減の切り札として期待されましたが、世界の超富裕層からは冷ややかな反応しか得られませんでした。高額な費用、税制の問題、そして母国への愛着など、様々な要因が絡み合って、この計画は失敗に終わったと言えるでしょう。