Ado、SNSで精神的な落ち込みを吐露、ファンから心配の声相次ぐ ― 多忙なキャリアと「よだかの星」に重ねる心境

人気歌い手Adoが12月27日、自身のX(旧Twitter)アカウントに精神的な落ち込みをうかがわせる投稿を連投し、ファンから多くの心配の声が寄せられました。多忙を極めるキャリアの急速な発展が、23歳の彼女に大きな重圧を与えている可能性が指摘されています。

AdoがXに連投した“心労”を示す投稿

12月27日、「今年の漢字は移動の移だな…」とつぶやいたAdoは、「反省することが多かった」と続け、その後も心の状態が不安定であることを示唆する言葉を次々と投稿しました。彼女は「しっかりしよう 良くないよ 私が楽になるばっかりじゃ ダメダメですよ」と自らを責めるような独り言を綴り、さらに「人を導く 導く もっとちゃんとしよう」と自らを戒めるかのように発言。極めつけには「恥ずかしくない人間になろう 恥ずかしくない人間になる 足りないから 足りない 償う」と、強い自己否定の言葉まで並べました。

ファンはこれらの投稿に即座に反応し、「Adoちゃん大丈夫?」「なにかあったの?」「もうじゅうぶん導いてくれてるよ」といった心配や励ましのメッセージが多数寄せられました。その後、Adoはファンの声に応えるように「いつも、みなさんごめんなさいね」「もっとちゃんとしっかりとした私としてステージに立つべきだったね」と何度も謝罪の言葉を綴っています。同時に「ありがとうね」「こんな私を ありがとう」と感謝を述べつつも、彼女の自己肯定感の低さが浮き彫りになる一連の投稿となりました。

Adoのベストアルバムのジャケット写真Adoのベストアルバムのジャケット写真

『ちびまる子ちゃん』OPで前向きな姿勢も、多忙な一年が背景か

一連の“病みポスト”が続いた翌日の28日、Adoはアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)の新オープニング主題歌として自身が歌う『おどるポンポコリン』が放送開始となることを受け、「本日からAdoオープニングで放送されますよ たのしみですね!!」と、一転して前向きな投稿を行いました。このポジティブな転換は、ファンを安堵させましたが、一連の投稿の背景には、彼女のこの1年の多忙な活動があると考えられます。

音楽関係者によると、Adoは今年8月に2度目のワールドツアー『Hibana』全34公演を完走し、世界33都市で約50万人を動員しました。これは日本人アーティストとしては過去最大級の規模を誇るツアーです。さらに11月には、自身初となる東京ドーム、京セラドーム大阪でのドーム公演も成功させるなど、まさに飛躍と多忙を極めた1年でした。

大阪万博で檻の中でパフォーマンスするAdo大阪万博で檻の中でパフォーマンスするAdo

顔出ししないスタイルとキャリアアップがもたらす重圧

Adoは、デビュー以来顔出しをしないスタイルを貫いています。この匿名性が彼女の魅力の一つである一方で、急速なキャリアアップが彼女に与える重圧も指摘されています。前述の音楽関係者は、「普段はごく普通の23歳の女性でも、ステージでは“Ado”を完璧に演じなければならない。その強迫観念にも似た責任感が、自分を追い込みすぎてしまう要因になっているのではないでしょうか」と語っています。

“Ado”として完璧なパフォーマンスと存在感を求められることと、一人の人間としての自分との間で葛藤が生じている可能性も考えられます。この独自の活動スタイルが、彼女の心に想像以上の負担をかけているのかもしれません。

宮沢賢治『よだかの星』に重ねる孤独と葛藤

Adoは、今回のドームツアーのタイトル「よだか」が、宮沢賢治の短編小説『よだかの星』に影響を受けていると語っています。『よだか』は実在する鳥ですが、作中では周囲からひどい扱いを受け、「寂しい鳥」として描かれています。最終的には空高く羽ばたいた末に星になる物語です。

Adoはこの描写を見て、「私もそうなりたい、星になって輝き続けたい」と感じたそうです。孤独の中で高みを目指すという『よだかの星』のテーマは、彼女がXに投稿した一連の言葉とも合致する心境を示している可能性があります。さらなる高みを目指すからこその孤独と葛藤。これは、一流の表現者だけが経験し得る領域と言えるでしょう。

Adoの今後の活動と、彼女自身の心の健康に、ファンは引き続き温かい眼差しで見守っていくことでしょう。