日本のコンビニエンスストア業界は、5万5千店を超える店舗数で飽和状態を迎えています。人口減少も相まって、従来の店舗数拡大戦略からの転換が求められる岐路に立っています。この記事では、コンビニ業界の現状と今後の成長戦略について解説します。
コンビニ店舗数の現状と課題
日本フランチャイズチェーン協会のデータによると、2024年1月末時点のコンビニ店舗数は約5万5700店で、前年同期とほぼ横ばい。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社も、店舗数の伸びは鈍化しています。人口減少が進む中で、店舗数の減少も懸念される状況です。
セブン&アイHDの井阪隆一社長(左)と次期社長のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏
立地戦略の重要性
収益性を確保するためには、立地戦略が重要です。訪日外国人観光客が多い都市部の繁華街など、人が集まる場所への出店は依然として続いています。しかし、競争も激化しており、近隣に同チェーン店が出店するケースも少なくありません。
新たな収益源の模索
店舗数拡大に頼らない収益源の確保も課題です。近年、各社が力を入れているのが宅配サービスです。顧客一人あたりの購入額は来店客よりも多い傾向があり、成長が期待されています。
コンビニ業界の未来:成長戦略
コンビニ業界が今後も成長を続けるためには、様々な戦略が求められます。
宅配サービスの強化
宅配サービスは、コロナ禍で需要が急増し、今後も成長が見込まれます。利便性の向上や品揃えの充実など、更なるサービス強化が重要です。 例えば、有名料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「忙しい現代人にとって、コンビニの宅配サービスは欠かせない存在。健康志向の高まりに応じたメニュー開発も期待される」と述べています。
デジタル技術の活用
セルフレジや無人店舗の導入は、人手不足の解消に貢献します。また、スマートフォンアプリを活用した顧客サービスの提供や、データ分析による需要予測なども重要です。
コンビニのセルフレジ
海外市場への進出
国内市場の飽和を打破するためには、海外市場への進出が不可欠です。セブン-イレブンは既に米国やアジア各国で展開しており、ローソンもアジアを中心に海外展開を進めています。 流通コンサルタントの田中一郎氏(仮名)は、「成長著しいアジア市場は、コンビニ業界にとって大きなチャンス。各社の海外戦略が今後の成長を左右する」と指摘しています。
まとめ
コンビニ業界は、飽和状態と人口減少という課題に直面しています。しかし、宅配サービスの強化、デジタル技術の活用、海外市場への進出など、新たな成長戦略によって、更なる発展が期待されます。