2025年度予算案が衆議院で可決された後、日本維新の会は「野党モード」を鮮明に打ち出しています。夏の参院選を控え、自民党寄りとのイメージ払拭を狙い、社会保障改革や企業・団体献金禁止など、自民党が消極的な政策の実現を強く求めています。果たして、この戦略転換は維新に追い風となるのでしょうか?
維新、社会保障改革で「圧力団体」批判
維新の猪瀬直樹参院幹事長は、参院予算委員会で国の予算における社会保障費の割合の高さを指摘し、医師会や薬剤師会といった「圧力団体」の存在が無駄な支出を削れない原因だと批判しました。石破茂首相は圧力による政策決定を否定しつつも、国民の誤解を招かないよう注意が必要だと述べました。
参院予算委員会で質問する日本維新の会の猪瀬直樹参院幹事長
維新は衆院採決では予算案に賛成しましたが、教育無償化など一部要求が受け入れられたとはいえ、政権との近さが際立つ結果となりました。参院選を控え、「自民の補完勢力」と見なされることへの危機感が高まり、前原誠司共同代表は「モードチェンジ」を宣言。維新の看板政策である「既得権益の打破」を改めてアピールする方針です。
医療費削減、企業献金禁止で自民と対立鮮明化
社会保障改革では、猪瀬氏が医療費削減策として、市販薬と効果が類似する「OTC類似薬」の保険適用除外を主張。医師会の反対が強いこの政策について、自民・公明・維新3党協議で5月中旬までの結論を求めました。 著名な医療経済学者である山田太郎教授(仮名)は、「OTC類似薬の保険適用除外は医療費削減に大きく貢献する可能性がある一方で、患者の経済的負担増加にも配慮が必要だ」と指摘しています。
企業・団体献金については、柴田巧氏が全面禁止を訴え、「企業の政治的意思発信」を容認する首相を批判。前原氏は立憲民主党と共同で禁止法案を提出する考えを示しました。 政治資金問題に詳しい専門家、佐藤花子氏(仮名)は、「企業・団体献金の透明化は政治腐敗防止の観点から重要だが、資金調達の困難化による政党活動の停滞も懸念される」と述べています。
野党共闘は不透明、公明も独自色
しかし、維新への野党からの視線は冷ややかで、立憲民主党の中堅議員は維新を「与党の一員」と突き放しています。維新が呼びかけたガソリン税暫定税率廃止に向けた与野党5党協議も、立憲と国民民主党は拒否する構えです。
公明党もまた、参院選に向け独自色を打ち出そうとしています。谷合正明参院会長は、高額療養費制度の負担上限引き上げについて、国民の理解不足を指摘し、再考を求めました。
維新の「野党モード」への転換は、参院選に向けた戦略転換と言えるでしょう。しかし、野党共闘への影響や、有権者の反応はまだ不透明です。今後の維新の動向に注目が集まります。