物価高が収まる気配を見せない中、政府は「おこめ券」配布や子育て世帯への2万円給付といった経済対策を打ち出していますが、世論からは「減税こそ必要」との声が強く上がっています。このような状況下で、国会議員の給与にあたる「歳費」を月額5万円引き上げる法案が検討されていると報じられ、国民の間では強い反発が噴出しています。この提案は、経済的な苦境に直面する多くの人々にとって、政治と国民生活の乖離を浮き彫りにしています。
1999年以来の歳費引き上げへ:その背景と国民の疑問
報道によると、現在129万4000円である一般議員の月額歳費が、134万4000円に引き上げられる可能性があります。もし実現すれば、1999年以来の歳費引き上げとなり、引き上げ時期は次回の国政選挙後とされています。歳費引き上げの背景には、国家公務員特別職の月額給与の大幅な引き上げ案が国会に提出されることや、民間企業の賃上げの流れが挙げられています。国会法には「国会議員は、一般職の国家公務員の給与よりも少なくない歳費を受け取る」という規定があるため、公務員の給与改正に伴い、国会議員の歳費も調整されるとの見方が示されています。しかし、政治ジャーナリストからは「月5万円、年間60万円もの昇給は、民間企業ではありえないペースだ」との指摘があり、国民からはその妥当性に疑問の声が上がっています。
日本維新の会 吉村代表が猛反発 「身を切る改革」と逆行
この歳費引き上げ報道に対し、日本維新の会の吉村洋文代表はX(旧Twitter)で「維新として増額の調整にも入っていない」と関与を否定しました。
日本維新の会 吉村洋文代表さらに吉村代表は、「議員の報酬を上げるのは明確に反対だ」と強く主張し、「維新の国会議員だけが現在も2割報酬削減をしている。議員報酬を上げる前に国民の給与を上げよ」と政府の方針を厳しく批判しています。日本維新の会はこれまで「身を切る改革」を掲げ、議員定数の削減などを訴えてきました。今回の歳費引き上げの動きは、その「身を切る改革」の精神に逆行するものと捉えられており、政治ジャーナリストも「これでは維新の理念と矛盾する」と指摘しています。
物価高に苦しむ国民の声 「順番が逆」「ふざけんな」
現在、多くの国民が物価高騰と景気低迷の中で経済的な疲弊を感じています。このような状況での国会議員の報酬引き上げ報道は、国民の怒りに火をつける形となりました。インターネット上では、「歳費アップは国民の生活が豊かになってからだろう。順番が逆だ」「結局減税もせず、自分たちの歳費だけ上げるのか。国民の状況を理解しているのか」「高市政権、本当にふざけるな」といった批判の声が相次いでいます。もちろん、「きちんと仕事をしてくれるならアップでも構わない」という意見も一部にはありますが、現状として国民の暮らしが豊かになったとは言いがたい状況です。まずは目に見える形で国民生活の改善に貢献し、その上で報酬を検討するのが本来の筋ではないでしょうか。
物価高に苦しむ国民の生活が置き去りにされ、政治家だけが恩恵を受けるような印象を与えかねない今回の歳費引き上げ案は、政治への不信感をさらに深める要因となっています。政府には、国民の現状と感情を真摯に受け止め、より実効性のある経済対策と「身を切る改革」の実践が強く求められています。




