ガザ地区におけるハマスとの停戦合意を巡り、米国とイスラエルの間で激しい意見の対立が生じている。米ニュースサイト「アクシオス」が関係筋の話として報じた。イスラエルはハマスとの直接協議に反対していたが、米国はこれを無視してハマス幹部と人質解放交渉を進めたため、両国の溝が深まっている。
米国とハマスの直接協議:イスラエルの反発招く
イスラエルは2月上旬、米国に対しハマスとの直接協議を避けるよう忠告していた。しかし、米国のボーラー人質問題担当特使はカタールでハマス幹部と会談し、米国人人質の解放について協議した。この動きにイスラエルは強く反発。デルメル戦略問題相はボーラー特使に電話で抗議し、イスラエルの同意なしに拘束中のパレスチナ人釈放などを提案しないよう要求したという。
米大統領とイスラエル首相の共同記者会見
アクシオスの報道によると、イスラエル高官らは米国の行動に強い懸念を示している。ハマスをテロ組織とみなすイスラエルは、直接交渉がハマスの立場を強化し、さらなるテロ行為を助長する可能性を危惧している。一方、米国は人質の早期解放を最優先事項としており、ハマスとの対話を継続する構えを見せている。
停戦合意の行方:不安定な情勢続く
イスラエルとハマスの停戦合意の第1段階は1日に終了した。ハマスは恒久的な停戦を求めているが、イスラエルは暫定的な延長と人質解放を主張しており、合意の継続は不透明な状況だ。米国とイスラエルの対立は、この複雑な状況をさらに悪化させる可能性がある。
ガザ地区の破壊された建物の前
専門家の見解:国際社会の協力不可欠
国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「米国とイスラエルの対立は、中東和平プロセスの大きな障害となる可能性がある。ガザ地区の安定化のためには、国際社会が一体となってハマスへの圧力を強めるとともに、人道支援を強化する必要がある」と指摘する。
ガザ地区の緊張は依然として高く、今後の展開が注目される。人質の安全確保と和平の実現に向けて、関係国間の緊密な連携が求められている。