老朽化インフラ崩壊の危機!道路陥没事故から学ぶ教訓と対策

日本のインフラ老朽化問題は、もはや他人事ではありません。2025年1月、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、トラック運転手が巻き込まれるという痛ましい結果となりました。この事故は、私たちにインフラの維持管理の重要性を改めて突きつけ、将来への不安を掻き立てています。 老朽化するインフラにどう対処していくべきか、一緒に考えていきましょう。

埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故の現場埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故の現場

インフラ老朽化の深刻な現状

政策研究大学院大学の土木工学者、家田仁特別教授は、インフラの老朽化問題に長年取り組んできた専門家です。家田教授は、従来のスクラップ&ビルド方式でのインフラ更新は限界に達していると指摘し、国民一人ひとりが維持管理の責任を自覚する必要性を訴えています。

人口減少が進む中で、全てのインフラを完璧に維持することは不可能です。だからこそ、インフラの使い方を工夫し、優先順位をつけて重点的に整備していく必要があります。これは、インフラのオーナーである国民の協力なしには実現できません。

家田教授によると、多くのインフラが今後、メンテナンスが必要となる目安である「築50年」を迎えます。下水道は2020年時点で全体の5%でしたが、2030年には16%、2040年には35%に増加する見込みです。道路橋に至っては、2020年に30%、2030年には55%、2040年には75%と、さらに深刻な状況です。

財源と人材不足という大きな壁

深刻なインフラ老朽化に対し、必要な財源と人材は慢性的に不足しています。市町村の土木費は1993年度の11.5兆円をピークに、近年は約6.5兆円と大幅に減少しています。

人材不足も深刻です。道路、橋、上下水道の約7割を管理する市区町村のうち、技術系職員が全くいない団体が25%、5人以下の団体が約5割にも上ります。これほど少ない人数で、点検、補修の発注、予算要求など、膨大な業務をこなさなければならないのが現状です。

インフラの老朽化が進む様子インフラの老朽化が進む様子

インフラ群マネジメント:未来への希望

では、どうすればこの危機を乗り越えられるのでしょうか?家田教授は、「インフラ群マネジメント」という革新的なアプローチを提唱しています。これは、複数のインフラをまとめて管理することで、効率的な維持管理を実現する手法です。例えば、道路、橋、下水道などを一体的に管理することで、コスト削減やリスク分散が可能になります。

さらに、地域住民の意見を取り入れ、インフラの活用方法を共に考えることで、地域活性化にも繋がる可能性を秘めています。

あなたもインフラの未来を担う一人

インフラの維持管理は、私たちの生活の基盤を支える重要な課題です。家田教授の提言を参考に、私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、共に未来を考えていくことが大切です。「文藝春秋」4月号には、家田教授の緊急提言が掲載されています。ぜひ手に取って、日本のインフラの未来について考えてみませんか?

専門家の声

都市計画コンサルタントの佐藤一郎氏(仮名)は、「インフラ老朽化問題は、国民全体で取り組むべき喫緊の課題です。家田教授の提唱するインフラ群マネジメントは、限られた資源を有効活用するための重要なアプローチとなるでしょう。行政だけでなく、地域住民や民間企業も積極的に関わり、持続可能な社会の実現に向けて協力していくことが不可欠です。」と語っています。