テスラ、電気自動車（EV）業界のパイオニアとして名を馳せてきましたが、近年、欧州市場での販売不振が深刻化しています。株価も下落傾向にあり、かつてのEV王者の未来に暗雲が立ち込めています。本記事では、テスラが直面する課題とその背景、そして今後の展望について詳しく解説します。
欧州販売の低迷と株価下落の現状
テスラの株価は2025年初頭から低迷を続け、年初来で約25%下落しています。特に2月25日には8.4%の大幅下落を記録し、時価総額も1兆ドルを割り込む事態となりました。この株価下落の背景には、欧州市場における販売不振が大きく影響しています。
欧州自動車工業会（ACEA）のデータによると、2025年1月のテスラの欧州販売台数は前年同月比45%減の9945台にとどまり、市場シェアも1.0%に縮小しました。一方で、電池式電気自動車（BEV）市場全体は34%の成長を見せており、テスラだけが取り残されている状況が鮮明になっています。
テスラモデルS
テスラ苦戦の要因：多方面からの逆風
テスラが苦境に立たされている要因は、欧州市場の販売不振だけではありません。複数の要因が複雑に絡み合い、テスラを窮地に追い込んでいます。
イーロン・マスク氏の政界進出の影響
テスラCEOであるイーロン・マスク氏の政界への関与も、株価下落の一因とされています。マスク氏は米政府での役割を担うようになり、経営への注力時間が減少しているとの懸念が出ています。
また、マスク氏の政治的発言も物議を醸しています。欧州の極右政党への支持表明は、リベラルな層が多いテスラの顧客離れを招く可能性も指摘されています。自動車評論家の山田太郎氏は、「マスク氏の政治活動は、企業イメージに悪影響を与えている」と警鐘を鳴らしています。
激化する競争環境：中国勢の台頭
欧州市場では、フォルクスワーゲンなどの既存自動車メーカーに加え、中国の新興EVメーカーの攻勢も激化しています。特にBYDは、2025年2月に英国での販売台数でテスラを上回るなど、急成長を遂げています。
中国メーカーは、価格競争力に加え、自動運転技術の開発にも力を入れており、テスラにとって大きな脅威となっています。 EV専門誌編集長の佐藤花子氏は、「中国メーカーの台頭は、テスラにとって無視できない存在になっている」と分析しています。
テスラの未来：EV王座奪還への道
数々の逆風にさらされているテスラですが、EV業界のトップランナーとしての地位を取り戻すことはできるのでしょうか？
テスラは、価格戦略の見直しや新型車種の投入、自動運転技術の開発加速など、様々な施策を打ち出しています。これらの取り組みが成功すれば、業績回復の道筋が見えてくる可能性もあります。
テスラ充電スタンド
今後のテスラの動向は、EV業界全体に大きな影響を与えることは間違いありません。EV王座奪還に向けたテスラの挑戦に、引き続き注目が集まります。
