中国がカナダ製品に対し、高額関税を課す報復措置を発表しました。キャノーラ油やエンドウ豆、ロブスターなど幅広い品目が対象となり、カナダ経済への影響は必至です。一体何が起きているのでしょうか?今回の措置の背景、そして中国の真の狙いを探ります。
カナダの対中関税に猛反発!中国の報復措置とは?
中国国務院関税委員会は、カナダからの輸入品8品目に100%、64品目に25%の追加関税を課すと発表しました。対象となるのは、キャノーラ油やエンドウ豆といった農産物から、ロブスターやタラバガニなどの水産物、そして豚肉まで多岐にわたります。中国側は、カナダが昨年から中国製電気自動車や鉄鋼製品に追加関税を課していることを「差別的措置」と非難し、今回の報復措置に踏み切りました。
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中国国営メディアは、今回の措置を「世界貿易機関(WTO)の非差別原則違反に対する強力な対応」と正当化しています。「むちで打たれなければ痛さがわからない」とカナダを強く批判し、他国への警告も示唆しました。
米中対立の狭間で揺れるカナダ、その行方は?
専門家の中には、今回の報復措置は、米国との貿易交渉で中国への関税を交渉材料として利用しようとするカナダへの牽制だと分析する声もあります。中国は、米国が追加関税を免除する代わりに中国に追加関税を課す国に対しては、「断固として対応する」と警告を発しています。
カナダは、米国と協力して中国のダンピング対策を進める姿勢を示していました。しかし、今回の中国の報復措置により、カナダは難しい立場に立たされています。シンガポール国立大学の陳波教授は、「カナダとメキシコは米国の圧力と中国の報復の板挟みになっている」と指摘しています。
カナダ総選挙への影響は?中国の思惑を読み解く
10月までに総選挙を控えるカナダ。中国の関税措置は、選挙結果にも影響を与える可能性があります。北京のコンサルティング会社トリビウム・チャイナのアナリストは、「中国はオーストラリアと同様に、選挙と指導者の交代を関係再設定の機会と捉えている」と分析しています。2020年には、中国はオーストラリアのモリソン政権に対し、様々な輸入制限措置を実施しましたが、政権交代後はこれらの措置を解除しています。
中国は、カナダ産エンドウ豆の輸入先をウクライナに切り替える動きを見せているとの報道もあります。中国経済紙の財新は、駐ウクライナ中国大使がウクライナとのエンドウ豆輸入に関する検疫議定書に署名したと報じました。
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今回の中国の報復措置は、カナダ経済への打撃だけでなく、米中対立の新たな火種となる可能性も秘めています。今後のカナダの対応、そして中国の真の狙いから目が離せません。