ISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在を余儀なくされた米国人宇宙飛行士の救出劇をめぐり、様々な憶測が飛び交っています。今回は、この話題について詳しく掘り下げ、関係者たちの主張や背景にある事実を探っていきます。
マスク氏の主張:政治的思惑か?
実業家のイーロン・マスク氏は、救出計画を提案したものの、当時のバイデン政権に却下されたと主張しています。マスク氏によれば、これは彼を「救世主」に見せないための政治的思惑だったとのこと。この主張は、ドナルド・トランプ前大統領からも支持されています。
altISSで任務に当たる宇宙飛行士たち。左から、ニック・ヘイグ氏、サニ・ウィリアムズ氏、ブッチ・ウィルモア氏、アレクサンドル・ゴルブノフ氏。
当事者ウィルモア氏の証言
ISSに足止めされているブッチ・ウィルモア氏は、マスク氏の主張を支持する発言をしています。彼はすべての詳細を把握しているわけではないとしながらも、マスク氏の言葉を信じると述べています。
NASAの見解:安全性を最優先
NASAは、ボーイングの宇宙船「スターライナー」の安全性が確認されるまで、ウィルモア氏らの帰還を延期せざるを得なかったと説明しています。NASAは数ヶ月前から代替案として、スペースXの宇宙船「クルードラゴン Crew-9」で2人を帰還させる計画を立てていたとのこと。しかし、この計画は公にはされていませんでした。
批判の声と宇宙コミュニティの反応
マスク氏の主張に対し、デンマーク人宇宙飛行士のアンドレアス・モーゲンセン氏は「嘘をついている」と批判しています。また、マスク氏のモーゲンセン氏に対する反論には、不適切な表現が含まれていたため、NASAのスコット・ケリー氏やマーク・ケリー氏など、宇宙関連コミュニティから強い反発を受けています。
長期滞在の背景:スターライナーの不具合
ウィルモア氏とサニ・ウィリアムズ氏は、スターライナーの初有人飛行でISSに到着しましたが、スターライナーの不具合により、当初予定の8日間を大幅に超えて滞在を続けることになりました。この長期滞在が、今回の論争の発端となっています。
Crew-9の帰還延期とCrew-10の影響
Crew-9の帰還はスペースXによって延期されています。これは、3月12日に打ち上げ予定の「Crew-10」の準備が遅れていることが原因とされています。
宇宙開発における課題と今後の展望
今回の出来事は、宇宙開発における安全性の確保と政治的思惑のバランスの難しさを改めて浮き彫りにしました。宇宙開発は人類の未来にとって重要な挑戦であり、透明性と国際協力が不可欠です。今後の宇宙開発の進展に注目が集まります。