NHK連続テレビ小説「おむすび」もいよいよ終盤。橋本環奈さん主演で話題を呼んだものの、視聴率は低迷し、厳しい評価を受けています。一体何が問題なのでしょうか? 今回は、構成面に着目し、その問題点を紐解いていきます。
構成の迷走:緩急の差が視聴者を置いてけぼりに?
ドラマ制作者の間でも、「おむすび」の構成に対する批判の声は少なくありません。「エピソード同士の繋がりが不自然」「緩慢な展開と急展開の落差が激しい」といった意見が聞かれます。
15週~16週:詰め込みすぎ?唐突な展開?
具体例として、15週から16週にかけての放送内容を見てみましょう。
15週では、ヒロイン結(橋本環奈)と夫・翔也(佐野勇斗)の新婚生活、結の妊娠、東日本大震災、被災地支援、そして管理栄養士を目指す決意までが描かれています。75分という限られた時間の中で、これだけの出来事を詰め込んだ結果、展開が唐突に感じられた視聴者もいるのではないでしょうか。
橋本環奈
例えば、結の妊娠と腎盂腎炎、東日本大震災、友人の被災地支援活動といった出来事は、それぞれが重要なテーマであり、丁寧に描くことで視聴者の共感を呼ぶ可能性がありました。しかし、駆け足で展開されたことで、それぞれの出来事の重みが薄れてしまい、視聴者の感情移入を阻害した可能性も考えられます。
プロの視点:著名脚本家A氏の見解
著名脚本家のA氏は、「おむすび」の構成について、次のように述べています。「各エピソードは魅力的な素材を含んでいるにも関わらず、それらが有機的に繋がっておらず、散漫な印象を与えている。もう少し、一つ一つのエピソードを丁寧に掘り下げ、登場人物たちの心情を丁寧に描くことで、より深みのあるドラマになったのではないか」
A氏の指摘の通り、個々のエピソードは興味深いテーマを扱っているものの、それらが効果的に繋がっていないことが、視聴率低迷の一因と言えるかもしれません。
視聴者離れの原因:共感性の欠如?
「おむすび」の低迷は、視聴者がヒロインに共感しづらかったことも原因の一つと考えられます。妊娠、出産、震災、キャリアなど、様々な出来事が描かれる中で、ヒロインの心情描写が不足していたため、視聴者は彼女の葛藤や成長を十分に理解できなかった可能性があります。
まとめ:丁寧な描写で共感を呼ぶドラマ作りを
「おむすび」の事例は、朝ドラにおける構成の重要性を改めて示しています。視聴者の共感を得るためには、一つ一つのエピソードを丁寧に描き、登場人物たちの心情を深く掘り下げることが不可欠です。今後の朝ドラ制作において、これらの点が改善されることを期待したいところです。