憧れのタワーマンション(タワマン)生活。フィットネスクラブ、ゴルフレンジ、キッズルームなど、至れり尽くせりの設備に魅力を感じ、夢のマイホームとして選ぶ方も多いのではないでしょうか。しかし、華やかなイメージの裏には、予期せぬトラブルや困難が潜んでいることも事実です。今回は、電通マンであり、自身もタワマンの理事長を務める筆者が、実際に経験したリアルな体験談を通して、タワマン生活の落とし穴についてお伝えします。
3階ベランダ水浸し事件:まさかの冤罪騒動
ある日、管理会社から「3階居住者のベランダが水浸しになっている」との報告を受けました。雨どいが詰まっていることが原因と思われ、ベランダで土が流出したことが原因ではないか、つまり3階居住者に責任があるのではないかという疑いがかけられました。
真相を確かめるため、実際に現場を確認すると、3階住人のベランダはプールのように水浸しになっていましたが、鉢植えなどは一切なく、土が流出した形跡もありませんでした。そこで、専門業者に調査を依頼することに。
結果、意外な事実が判明しました。なんと、長年にわたり上層階から流れてきた土砂が3階の高さまで堆積し、雨水が溢れ出ていたのです。3階居住者は完全に濡れ衣を着せられた被害者だったのです。管理組合の修繕費で修理を行い、雨どいからは長年堆積した汚泥が大量に排出されました。3階居住者の方には大変申し訳ないことをしました。この一件は、高層マンションならではの思わぬトラブルを象徴する出来事でした。
3階ベランダの水浸しイメージ
台風19号の猛威:想定外の被害
2019年10月に発生した台風19号は、各地に甚大な被害をもたらしました。武蔵小杉のタワマンでは、多摩川氾濫の影響で下水と雨水が混ざった汚泥が地下に流れ込み、停電・断水が2週間も続くという深刻な事態に。
私たちのマンションでは、網戸の補強が功を奏し、網戸が飛ばされる被害は免れました。しかし、強風で飛ばされたエアコンの室外機が窓ガラスを破損するという、想定外の被害が発生しました。あの重い室外機が飛ぶほどの暴風雨だったのです。
タワマンの高層階は強風の影響を受けやすく、風が強い日は建物が揺れることもあります。「マンション防災の専門家」であるA氏も、「高層階ほど風速が強くなるため、台風対策は必須」と警鐘を鳴らしています。
この経験から、管理組合として更なる台風対策の強化が必要だと痛感しました。網戸の補強に加え、エアコン室外機の足部分をコンクリート製に強化する工事も住民に提案しました。
マンション管理の難しさ:住民との協力が不可欠
これらの経験を通して、タワマン管理の難しさを改めて実感しました。快適なタワマン生活を送るためには、住民一人ひとりの意識と協力が不可欠です。予期せぬトラブル発生時にも、冷静に状況を判断し、適切な対応策を講じることが重要です。また、日頃から防災意識を高め、備えを万全にしておくことも大切です。
これらの教訓を活かし、より安全で快適なタワマン生活を実現していきたいと考えています。