大阪・関西万博のシンボル、大屋根「リング」周辺の護岸で、早くも浸食被害が発生していることが明らかになりました。日本国際博覧会協会は3月10日、リングが海水と接する護岸1.1キロメートルのうち、600メートルで浸食が確認されたと発表しました。2月中旬に海水の注入を開始したばかりでの出来事で、関係者に衝撃を与えています。
海水の注入開始直後に発生した浸食被害
alt海水で満たされた万博会場の大屋根「リング」。リング内側が「ウォータープラザ」、外側が「つながりの海」。
浸食被害はリング内側の「ウォータープラザ」と外側の「つながりの海」の2カ所で確認されました。ウォータープラザでは、東側の護岸約120メートルが、つながりの海では西側の護岸約480メートルが浸食されています。いずれも水面から2メートルまでは土を盛っただけの構造で、強風による波で水際の土がえぐり取られたとみられています。
浸食の原因は強風と水位差?
2月中旬から海水の注入が開始された後、強い西風が吹き、東に向かって強い波が打ち付けていたことが、浸食の一因と考えられています。また、ウォータープラザではイベント準備のため、つながりの海よりも先に海水の注入を開始したため、両エリア間に水位差が生じ、外向きの水流が生まれたことも浸食を拡大させた可能性があります。
護岸保護のための対策を検討
協会は、リングの安全性には影響がないとしていますが、浸食被害の拡大を防ぐため、砕石で護岸を覆うなどの対策を検討しています。「万博開催まで時間がない中、このような事態が発生し大変遺憾です。早急に適切な対策を講じ、万博の成功に向けて尽力したい」と協会関係者は語っています。
専門家の見解
景観設計の専門家であるA氏(仮名)は、「海辺の構造物は、波や潮汐の影響を常に受けるため、綿密な事前調査と対策が不可欠です。今回の件は、自然の力を改めて認識させられる出来事であり、今後の護岸工事において貴重な教訓となるでしょう」と指摘しています。
万博開催への影響は?
今回の浸食被害が万博開催に直接的な影響を与えるとは考えにくいですが、今後の工事の遅延や追加費用が発生する可能性も懸念されています。関係者は早期の対策完了を目指し、万博の成功に向けて全力を尽くすとしています。