日産自動車は3月11日、取締役会を開催し、役員削減を含む新たな経営体制について協議します。ロイター通信によると、業績悪化の責任を問われている内田誠社長の退任は濃厚とされ、退任のタイミングと後任人事が焦点となっています。後任候補にも経営責任を問う声があり、議論が難航する可能性も出ています。
経営体制刷新の背景:業績悪化と経営統合の頓挫
日産は現在、60名を超える役員を抱えていますが、執行役員制度を廃止し、役員規模を2割削減する予定です。内田社長は2019年12月に就任以来、複数の事業計画を策定しましたが、業績予想の下方修正が相次ぎ、抜本的な改善には至っていません。昨年末から進めていたホンダとの経営統合協議も不調に終わりました。これらの要因が、今回の経営体制刷新の背景となっています。
日産本社
後任候補と課題:ステークホルダーの納得が焦点
後任候補には、最高財務責任者(CFO)のジェレミー・パパン氏や最高企画責任者のイヴァン・エスピノーサ氏らの名前が挙がっています。しかし、両氏とも現体制の役員であり、従業員を含むステークホルダーの理解を得られるかが課題となっています。特に、パパン氏は北米事業のトップを務めており、エスピノーサ氏は商品企画を担当していました。北米市場におけるハイブリッド車投入の遅れや在庫増加、値引き販売など、業績悪化の要因の一つとして北米市場の戦略が挙げられており、両氏への批判的な意見も存在します。自動車業界アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「新社長には、ステークホルダーの信頼を回復し、日産の再建をリードする強いリーダーシップが求められる」と指摘しています。
取締役会の行方と日産の未来
3月6日に開催された指名委員会では、内田氏の進退について結論が出ず、11日の取締役会に持ち越されました。暫定的な社長就任や内田社長の続投といった可能性も残されています。日産は9000人の人員削減と生産能力2割削減を含む再生計画の詳細を詰めており、取締役会では役員数の削減に加え、生産体制の見直しも発表される可能性があります。2月には3工場の閉鎖を発表しましたが、具体的な工場名はタイの第1工場のみが明らかにされています。今後の日産の経営戦略と新体制への期待が高まっています。
日産の再生に向けた取り組みは、まさに正念場を迎えています。新体制のもと、どのような戦略で業績回復を図るのか、今後の動向に注目が集まります。