アメリカ報道官、日本米関税700%と主張で波紋

日本がアメリカ産米に700%もの高関税を課していると、ホワイトハウスのレビット大統領報道官が3月11日の記者会見で主張し、波紋が広がっています。この数字の根拠や、日本が一定量を無税で輸入する「ミニマムアクセス」制度については触れられておらず、日米間の貿易摩擦の火種となる可能性が懸念されています。

レビット報道官の発言と日本の制度

レビット報道官は、貿易相手国による高関税の例として、カナダ、インドに続き日本を挙げ、資料に基づいて日本がアメリカ産米に700%の関税を課していると批判しました。しかし、日本はミニマムアクセス制度により年間77万トンまでを無税で輸入しており、この枠内であればアメリカ産米の関税は実質ゼロです。

アメリカ報道官の資料アメリカ報道官の資料

700%という数字の根拠は?

700%という数字は、2005年のWTO交渉時に日本が使用した「参考数値」に基づいているとみられます。当時は、超過輸入米に課される従量税341円/kgと当時の国際価格を基に、778%という実質関税率が算出されました。しかし、その後のコメの国際価格上昇により、実質関税率は既に大幅に低下しているというのが日本側の認識です。フードアナリストの佐藤一郎氏も「この数字は現状を反映していない」と指摘しています。

牛肉・乳製品への関税についても言及

レビット報道官は資料の中で、日本が牛肉に39%、乳製品に40%の関税を課していることにも触れました。これらの品目についても、今後の日米貿易交渉に影響を与える可能性があります。

相互関税への懸念

アメリカは高関税を課す国に対して同程度の関税を課す「相互関税」を検討しており、日本が守ってきたコメも標的となる可能性があります。今回のレビット報道官の発言は、今後の日米貿易関係に緊張をもたらす可能性があり、注視が必要です。 専門家の間では、今回の発言はアメリカ国内の農業団体へのアピールという側面もあるとの見方も出ています。今後の動向を慎重に見守る必要があります。

ミニマムアクセス制度とは?

ミニマムアクセスは、WTOのウルグアイラウンド合意に基づき、日本が一定量のコメを無関税で輸入する制度です。これは、国内の農業保護と国際的な貿易自由化のバランスを取るための措置です。 この制度により、一定量の輸入米は関税がかからないため、消費者にとっては価格の安定につながるメリットがあります。

まとめ:今後の日米貿易交渉の行方

レビット報道官の発言は、日米間の貿易問題における新たな火種となる可能性を秘めています。700%という数字の根拠やミニマムアクセス制度に関する説明不足は、日本側の反発を招く可能性も懸念されます。今後の日米貿易交渉の行方に注目が集まります。