桜島フェリーの24時間運航終了!90年の歴史に幕、その背景とは?

鹿児島と桜島を結ぶ生活の足、桜島フェリー。90年の歴史を誇り、41年間休むことなく24時間運航を続けてきましたが、2025年10月でその歴史に幕を下ろすことになりました。一体何が起きたのでしょうか?この記事では、桜島フェリー24時間運航終了の背景にある経営危機の実態を紐解き、その未来について考えていきます。

経営危機の深刻化:27億円もの累積赤字

桜島フェリーの経営危機は深刻で、累積赤字はなんと27億円を超えています。9年連続の赤字という厳しい現実が、24時間運航終了という苦渋の決断を迫りました。救急搬送や災害時の避難路としての役割も担ってきた桜島フェリー。その利便性の低下は、島民生活だけでなく、地域経済にも大きな影響を与えることが懸念されています。かつては「ドル箱路線」と呼ばれた桜島フェリーが、なぜここまで深刻な状況に陥ってしまったのでしょうか?

桜島フェリー桜島フェリー

高速道路開通とライバル出現:車両航送の減少

桜島フェリー衰退の大きな要因の一つは、2014年の東九州自動車道と大隅縦貫道の開通です。これにより、鹿児島市と大隅半島が高速道路で直結され、フェリーの利用客、特に物流トラックが陸路へと流れてしまいました。また、鹿児島交通が運営する鴨池・垂水フェリーも競合相手として存在感を増しています。県庁に近い鴨池港の利便性も、桜島フェリーにとって逆風となっています。

例えば、食料品輸送を専門とするA社(仮名)の物流担当者B氏によると、「高速道路開通後は、時間とコストの面で陸路輸送のメリットが大きくなった」とのこと。こうした声は、物流業界全体で共通しているようです。

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火山活動の活発化とコロナ禍:追い打ちをかける逆境

高速道路開通による収益減に加え、2015年8月の桜島の火山活動活発化も追い打ちをかけました。噴火警戒レベルが4に引き上げられ、島民避難や観光客の激減が発生。一時的な影響とはいえ、経営に大きな打撃を与えました。2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」効果で一時的に持ち直したものの、2020年からのコロナ禍が追い打ちをかけ、2020年・2021年の経常赤字は各年度7億円規模にまで拡大しました。

運営体制の変化と未来への展望

外部環境の変化に加え、2004年の桜島町合併による鹿児島市船舶局への移管も、運営体制の変化という点で影響を与えた可能性があります。専門家の中には、「行政主導の運営では、迅速な意思決定や柔軟な対応が難しく、経営の効率化を阻害する可能性がある」と指摘する声もあります。

桜島フェリーは、鹿児島と桜島を結ぶ重要な交通インフラです。24時間運航終了は、地域住民の生活や観光業に大きな影響を与えることが懸念されます。今後、運航時間の短縮による影響を最小限に抑えるための対策、そして持続可能な経営を実現するための抜本的な改革が求められています。

まとめ:地域と共に歩む桜島フェリーの未来

桜島フェリーは、地域住民にとってなくてはならない存在です。その存続のためには、行政、企業、地域住民が一体となって、新たな道を模索していく必要があります。今後の桜島フェリーの動向に注目が集まります。