8年の歳月を経て…乳腺外科医、準強制わいせつ罪で無罪確定へ ~冤罪の可能性、捜査・報道への疑問浮き彫りに~

医療現場で起きた衝撃的な事件、ついに終止符。2016年に手術後の女性患者の胸をなめたとして逮捕・起訴された乳腺外科医の男性に対し、東京高裁は3月12日、一審に続き無罪判決を言い渡しました。8年以上に及ぶ長い裁判の末、男性医師の無罪が確定的に。この判決は、捜査機関やメディアのあり方についても改めて問題提起するものとなっています。

事件の概要とこれまでの経緯

2016年5月、東京都足立区の病院で乳腺腫瘍摘出手術を担当した男性医師が、術後に女性の胸をなめたとして準強制わいせつ罪で逮捕・起訴されました。一審の東京地裁は2019年2月、女性が麻酔の影響でせん妄状態に陥り、幻覚を見ていた可能性を指摘。女性の胸から検出されたDNA鑑定についても、証言の信用性を補強するには至らないとして無罪を言い渡しました。

altalt東京・霞が関の司法記者クラブで会見を行う男性医師の弁護団(2025年3月12日)

しかし、控訴審の東京高裁は2020年7月、女性の証言の具体的さや迫真性を重視し、DNA鑑定も証拠として採用、一審判決を覆して逆転有罪(懲役2年)を宣告。その後、最高裁が2022年2月に控訴審判決を破棄し、東京高裁に審理を差し戻していました。そして今回、差し戻し控訴審で再び無罪判決が下されたのです。

無罪判決のポイントと医師の訴え

今回の判決では、一審と同様に女性の証言の信用性とDNA鑑定の証拠能力が争点となりました。裁判所は、麻酔によるせん妄の可能性を排除しきれないこと、DNA鑑定の結果が必ずしも犯行を直接的に証明するものではないことなどを理由に、無罪判決を下したとみられます。

男性医師は判決後の記者会見で、長年の裁判で失われた時間と名誉、そして家族への影響について語り、捜査機関とメディアへの強い憤りを表明しました。「警察と検察は、一度決めたら振り返ることのない組織だ」「マスコミは視聴者受けするやり方で情報を垂れ流す」と、捜査と報道のあり方への疑問を投げかけました。

専門家の見解

著名な刑事弁護士である山田一郎氏(仮名)は、この事件について「冤罪の可能性が改めて浮き彫りになった」と指摘。「捜査機関は客観的な証拠に基づいて慎重に捜査を進めるべきであり、メディアもセンセーショナルな報道に偏ることなく、公正な立場で事実を伝える責任がある」と述べています。(架空の専門家によるコメント)

今後の課題

この事件は、性犯罪における証拠の評価や、捜査・報道のあり方について、私たちに多くの課題を突きつけています。えん罪を防ぎ、公正な司法を実現するためには、関係者一人ひとりが自らの役割と責任を改めて認識する必要があると言えるでしょう。

この事件の行方、そして日本の司法制度の未来に、引き続き注目が集まります。