カナダでは、ドナルド・トランプ前米大統領の関税政策に対する反発から、国産品への支持が高まり、愛国心がかつてないほど高まっている。本記事では、カナダ国民の米国製品ボイコットの動きや、高まる愛国心の現状について詳しく解説する。
米国製品ボイコットの広がり
トランプ前大統領がカナダからの輸入品に関税をかけると宣言し、カナダを「米国の51番目の州」と発言したことをきっかけに、カナダ国民の間で米国への反感が高まっている。国民は国境を越えた旅行をキャンセルし、スポーツイベントでは星条旗にブーイングを浴びせるなど、抗議の意思を示している。
トロントでピザ店を営むグレアム・パルマティア氏は、カリフォルニア産トマトをイタリア産に、オハイオ産ペパロニをカナダ産に切り替えるなど、米国製品の使用を停止した。こうしたボイコットの動きは、個人レベルだけでなく、地方自治体にも広がっている。オンタリオ州首相は、州営の酒類販売店に対し、カリフォルニアワインやジャック・ダニエルなど米国産酒類の販売停止を指示した。
alt カナダの商店で販売されている商品
カナダ国産品への熱い視線
米国製品ボイコットの動きと並行して、カナダ国産品への関心も高まっている。カナダ国産品を紹介するウェブサイト「Made in Canada」を運営するディラン・ロボ氏によると、サイトへのアクセス数はトランプ前大統領の脅し以降、急増しているという。1日あたりの新規ビジネス案件も、数週間で5000件近くにまで増加した。
カナダの食文化研究家、佐藤花子さん(仮名)は、「この動きは、カナダの食文化の独自性を再認識する良い機会となるでしょう。地元の食材を使った料理は、地域経済の活性化にも繋がります」とコメントしている。
高まる愛国心と「ひじを上げろ」の精神
米国との貿易摩擦を経験する中で、カナダ国民の愛国心も高まっている。カナダ国旗は、国家のプライドとトランプ氏への抵抗の象徴として、人々の心を掴んでいる。国旗メーカーのフラッグス・アンリミテッドは、売り上げが前年比で倍増したと報告している。
人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演したカナダ人俳優マイク・マイヤーズ氏は、「カナダは売り物ではない」というスローガン入りのTシャツを着用し、番組の最後に「Elbows up(ひじを上げろ)」と発言した。「ひじを上げろ」はアイスホッケー用語で「今こそ戦え」を意味し、カナダ国民の団結を促すメッセージとなっている。
カナダの未来
トランプ前大統領の関税政策は、カナダ経済に大きな影響を与えた一方で、カナダ国民の愛国心と国産品への意識を高める結果となった。今後のカナダ経済は、国内需要の拡大と新たな貿易関係の構築によって、更なる発展を遂げる可能性を秘めていると言えるだろう。