高齢者を狙った悪質なリフォーム詐欺「点検商法」の被害が拡大しています。巧妙な手口で不安をあおり、高額な工事契約を結ばせる卑劣な犯罪の実態と、その対策について詳しく解説します。
トクリュウグループによる詐欺事件
2021年11月、神奈川県秦野市で80代の男性がリフォーム詐欺の被害に遭いました。「無料点検」を謳い訪問した男たちは、「基礎にヒビがある。今すぐ工事しないと家が傾く」と不安をあおり、43万円を騙し取ろうとしたのです。警視庁は、この事件に関与したトクリュウグループ「打越スペクター」の実質トップである斎藤竜実容疑者(35)を詐欺未遂の疑いで逮捕しました。
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彼らは「三洋」「三農」などの偽名を使い、同様の「点検商法」を繰り返していたとされ、被害者は1都3県で100人、被害総額は5700万円にものぼるとみられています。
「スーパーサラリーマン」を名乗る男らも逮捕
警視庁は、SNSで「スーパーサラリーマン」を名乗る40代の男ら4人も逮捕しました。彼らは「近所で工事をしていて、お宅の屋根が壊れているのが見えた」などと嘘をついて不安をあおり、不必要な工事契約を結ばせていました。2019年2月からの約5年間で約800件の工事契約、100億円以上を売り上げていたとみられています。
点検商法の手口と被害の実態
点検商法は、無料点検を口実に住宅に訪問し、小さな問題を大げさに言って不安をあおり、高額な工事契約を結ばせる手口です。屋根や床下など、高齢者には確認しにくい場所をターゲットにすることが多く、巧妙な話術で契約を迫ります。
なぜ高齢者が狙われるのか?
高齢者は、家の修繕に関する知識が乏しい場合が多く、訪問してきた業者を信用してしまう傾向があります。また、一人暮らしの高齢者にとって、若い人が訪ねてきてくれること自体が嬉しく、つい話を聞いてしまうという心理も利用されています。犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、「高齢者は屋根などに上れないため、家屋の損壊などが分かりづらい。悪質な業者の言い分を信じてしまうケースが多い」と指摘しています。
点検商法から身を守るには?
点検商法の被害を防ぐためには、訪問販売業者を安易に家に入れないことが重要です。突然の訪問には対応せず、インターホン越しで断りましょう。もし話を聞く場合は、家族や周りの人に相談し、複数の業者から見積もりを取るなど、慎重に判断することが大切です。
消費生活センターへの相談も有効
不審な業者に遭遇した場合や、契約に不安がある場合は、消費生活センターに相談しましょう。専門の相談員が対応し、適切なアドバイスを受けることができます。
まとめ
点検商法は、巧妙な手口で高齢者を狙う悪質な犯罪です。訪問販売業者を安易に信用せず、家族や周りの人と相談しながら、冷静な判断を心がけましょう。消費生活センターへの相談も有効な手段です。