ウクライナが開発した新型巡航ミサイル「フラミンゴ」が実戦で初投入された。最大射程3000キロメートルに達し、ロシアのシベリア一部も射程圏内。戦局に影響を与え、ウクライナは今冬にも量産開始を目指す。
クリミア攻撃で実証された「フラミンゴ」の威力
ウクライナのメディア「ミリタルヌイ」によると、「フラミンゴ」は8月30日、ロシアが併合した南部クリミアへのウクライナ軍攻撃に投入。ロシア連邦保安局(FSB)の前哨基地や船艇が破壊されたと報じられた。
ロシア深部を脅かす長大な射程と弾頭
製造元によれば、「フラミンゴ」は1150キログラムの弾頭を搭載可能。射程はモスクワ、サンクトペテルブルク、ウラル山脈東部まで到達し、ロシアの後方支援拠点への攻撃能力を飛躍的に高める。
ウクライナが実戦投入した新型巡航ミサイル「フラミンゴ」。その長大な射程がロシア領深部への新たな脅威となっている。
ゼレンスキー大統領が公表、年内量産化へ
ゼレンスキー大統領は8月20日、「フラミンゴ」の発射試験成功を公表。現在の製造ペースは1日1発だが、ウクライナ政府は12月にも本格的な量産体制への移行を目指す。
西側制限を回避する国産ミサイルの戦略的意義
米欧供与の長距離ミサイルには、ロシア領内への攻撃制限が課されることが多い。ウクライナはこれに対応し、使用制限のない国産ミサイル開発を急いできた。「フラミンゴ」は、ロシア後方支援拠点破壊と和平交渉圧力強化の戦略的狙いを持つ。
他の国産兵器との比較優位性
他の国産兵器として、対艦巡航ミサイル改良版「ロング・ネプチューン」は射程1000キロメートル、弾頭350キログラム程度。ドローン攻撃も小型爆弾しか運べず、目標完全破壊には限界がある。「フラミンゴ」は射程・破壊力でこれらを凌駕する。
新型巡航ミサイル「フラミンゴ」の実戦投入は、ウクライナ防衛戦略の重要な転換点だ。自国製兵器の能力向上と量産化は、外部制約を回避し、ロシアへの軍事的・政治的圧力を強化する上で極めて重要。この兵器が今後の戦局に与える影響が注視される。