「苦肉の策」がもたらす新体験!GV-E197系が牽引する「SLぐんま水上」の知られざる魅力

JR東日本高崎支社が上越線で運行する臨時快速「SLぐんま水上」は、その名の通り、通常は迫力ある蒸気機関車(SL)が牽引する人気の観光列車です。しかし、202X年8月16日以降、この列車はSLではなく、最新鋭の電気式ディーゼル車両GV-E197系が12系客車を牽引するという異例の形態で運行されています。これは、高崎支社のSLが一時的に運用を離脱していることによる「苦肉の策」ですが、鉄道ファンにとっては、普段では味わえない特別な体験を提供する絶好の機会となっています。

GV-E197系が「SLぐんま水上」を代走する背景

今回の代走運行の背景には、高崎支社が保有する2台のSLの運用状況があります。まず、D51形498号機は、7月19日の「GV・SLぐんま横川」の運行中に車両トラブルが発生し、現在運用を離脱しています。また、C61形20号機も8月に定期検査に入ったため、現時点で高崎支社には運行可能なSLがない状況です。このような事態を受け、SLの代替として、客車牽引能力を持つGV-E197系が「SLぐんま水上」の牽引機に抜擢されました。煙を吐くSLのような圧倒的な迫力こそありませんが、この代走が意外な魅力を生み出しています。

GV-E197系が12系客車を牽引し、上越線を快走する「SLぐんま水上」代走列車の様子GV-E197系が12系客車を牽引し、上越線を快走する「SLぐんま水上」代走列車の様子

代走だからこそ味わえるGV-E197系「SLぐんま水上」の魅力

GV-E197系による代走期間は、通常のSL運行では体験できない、いくつかのユニークな乗車体験を提供しています。

「往年の急行列車」を彷彿とさせる静かで快適な車内

普段のSL列車は、子ども連れの家族から熱心な鉄道ファンまで、多くの乗客で賑わう人気列車です。しかし、今回はGV-E197系の牽引に切り替わったため、SL目当ての乗客が減少。車内はボックス席がある程度埋まりつつも、空席が目立つ状況となっています。この適度な乗車率は、急行型車両である12系客車を、まるで「往年の急行列車」に乗っているかのようにゆったりと楽しむことを可能にしています。SLが持つ賑やかさとは異なる、静かで落ち着いた旅の雰囲気を満喫できるでしょう。

SLでは体験できない高速走行性能

もう一つの大きな注目点は、GV-E197系ならではの高速性能を体感できることです。通常のSL列車は、機関車の性能や運行上の制約により、最高速度が抑えられています。しかし、GV-E197系は単独走行時で時速100キロでの運転が可能であり、今回の「SLぐんま水上」代走でも、一部区間では時速80キロ程度での高速走行を実現しています。これは、通常のSL運行では体験できない速度であり、車内放送でも「往年の急行列車のような走り」とアナウンスされるなど、かつて客車列車が日本の主要な移動手段だった時代を追体験できる、まさに動くアトラクションとなっています。

代走は9月7日まで、SL復帰は10月以降

「SLぐんま水上」のGV-E197系による代走運行は、「夏の臨時列車」として202X年9月7日までの予定です。故障したD51形498号機の復旧作業は順調に進んでいると報じられており、10月以降の「秋の臨時列車」からは、再びSLが牽引する本来の「SLぐんま水上」の姿が見られる見込みです。7月25日の発表通りであれば、GV-E197系による代走の機会は、残すところ9月6日と7日の2日間のみとなります。この短い期間にしか味わえない、貴重な「GV-E197系版SLぐんま水上」の旅を体験してみてはいかがでしょうか。

参考文献