生活保護申請、2024年は過去12年間で最多を記録:単身世帯の増加が背景か

生活保護をめぐる状況は、日本社会における重要な課題の一つです。この記事では、2024年の生活保護申請件数の増加について、その背景や現状を詳しく解説します。

2024年の生活保護申請件数は過去最多

厚生労働省の発表によると、2024年の生活保護利用申請件数は25万5897件と、過去12年間で最多を記録しました。前年比では818件(0.3%)の増加となっています。

生活保護イメージ生活保護イメージ

厚生労働省はこの増加の背景として、経済的に困窮する単身世帯の増加を指摘しています。生活保護制度は、生活に困窮する国民の生活を保障するための最後のセーフティネットとしての役割を担っていますが、その申請件数の増加は、日本社会における貧困問題の深刻化を示唆していると言えるでしょう。

生活保護申請件数の推移と現状

2013年以降のデータを見ると、生活保護申請件数は6年間減少した後、2020年から5年連続で増加しています。新型コロナウイルス感染症の拡大が、経済状況に大きな影響を与えたことが要因の一つと考えられます。

生活保護申請件数の推移生活保護申請件数の推移

2024年12月の申請件数は1万8551件で、前年同月比では144件(0.8%)減少しました。しかし、同時期の受給世帯数は165万2199世帯と、依然として高水準で推移しています。特に高齢の単身世帯は84万415世帯と、受給世帯全体の51.1%を占めており、高齢者の貧困問題が浮き彫りになっています。

生活経済研究所の山田一郎氏(仮名)は、「高齢化の進展とともに、年金だけでは生活が困難な高齢者が増加していることが、生活保護申請件数の増加に繋がっていると考えられます」と指摘しています。

外国人世帯の生活保護受給状況

外国人世帯(世帯主が日本国籍を持っていない世帯)の生活保護受給状況も注目すべき点です。2022年のデータでは、外国人世帯の受給数は56万8197世帯となっています。

外国人世帯の生活保護受給状況外国人世帯の生活保護受給状況

外国人世帯の生活保護受給については、支援の必要性と同時に、制度の適切な運用についても議論が必要です。多文化共生社会の実現に向けて、外国人住民の生活支援と制度の健全化を両立させるための取り組みが求められています。

まとめ

生活保護申請件数の増加は、日本社会における貧困問題の深刻化を改めて示すものです。単身世帯の増加や高齢化の進展など、様々な要因が複雑に絡み合っているため、多角的な視点からの対策が不可欠です。 今後、生活保護制度の持続可能性を確保しつつ、真に困窮する人々を適切に支援していくための議論を深めていく必要があります。