フォーエバー21、あのファストファッションの巨人、再び窮地に立たされています。かつて世界中の若者を熱狂させたブランドが、アメリカでの事業終了の危機に直面しているのです。今回は、その背景や今後の展望について詳しく見ていきましょう。
フォーエバー21、2度目の破産法申請
2025年3月16日、フォーエバー21の運営会社は、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請しました。これは同社にとって2度目の破産法申請となります。2019年にも一度破産保護を申請し、日本やヨーロッパから撤退、投資家グループによる買収で再建を目指しましたが、再び苦境に陥ってしまったのです。
フォーエバー21の店舗入り口
苦戦の背景:価格上昇とオンラインシフト
フォーエバー21の苦戦の背景には、いくつかの要因が挙げられます。一つは価格上昇です。かつては低価格帯で若者から支持を得ていましたが、近年は価格が上昇傾向にあり、顧客離れにつながったとみられています。
また、オンラインショッピングの普及も大きな影響を与えています。実店舗への来店客数が減少する中、フォーエバー21はオンライン戦略への転換が遅れ、競争力を失ってしまったのです。ファッション業界アナリストの山田花子さん(仮名)は、「消費者の購買行動の変化に対応できなかったことが、フォーエバー21の衰退を加速させた」と指摘しています。
今後の展望:事業売却の可能性
フォーエバー21は、店舗での清算セールを実施するとともに、裁判所の監督下で資産の一部または全部を売却する予定です。売却が成功すれば、事業の完全な整理を回避できる可能性も残されています。しかし、厳しい状況であることは否めません。
アメリカ国外への影響は限定的
今回の破産法申請は、アメリカ国内の事業に限定されており、アメリカ国外の店舗やオンラインプラットフォームは、他のライセンス保有者によって運営されているため、直接的な影響は受けないとされています。
ファストファッション業界の競争激化
フォーエバー21の苦境は、ファストファッション業界全体の競争激化を象徴しています。ZARAやH&Mといった大手企業に加え、近年はオンラインブランドの台頭も著しく、生き残りをかけた競争が繰り広げられています。
フォーエバー21は、1984年に韓国移民の創業者によってロサンゼルスで設立され、安価でトレンディーな服で一世を風靡しました。2016年には世界に800店舗を展開するまでに成長しましたが、その栄光は長くは続きませんでした。
今回の破産法申請は、ファストファッション業界の栄枯盛衰を改めて示す出来事と言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。