日本で生まれ育ったにもかかわらず、在留資格がない子どもたちがいるという現実をご存知でしょうか。近年、外国人を取り巻く問題は複雑化し、様々な背景を持つ人々が日本で暮らしています。本記事では、日本で生まれ育った子どもが在留資格を得られないケース、そして「在留特別許可」制度の課題点について、専門家の意見を交えながら詳しく解説していきます。
在留資格がない子どもたちの現状
「不法滞在」「不法就労」といった言葉が社会問題として取り上げられる一方で、人道的な観点から難しい判断を迫られるケースも少なくありません。そこで設けられたのが「在留特別許可」制度ですが、その運用は本当に適正に行われているのでしょうか?
alt タイ人の少年が不安げな表情で座っている様子。日本で生まれ育ったにも関わらず、在留資格の問題に直面している。
日本で生まれ育った子どもが、ある日突然入管に収容されたり、家族と引き離されて強制送還されるという現実があります。外国人問題に精通する指宿昭一弁護士は、日本の「在留管理」優先の現状が、外国人の人権を軽視していると指摘します。(出典:指宿昭一弁護士著「使い捨て外国人—人権なき移民国家、日本」(朝陽会))
日本で生まれた外国人の在留資格はどうなる?
日本で生まれた外国人の子どもは、両親が外国人の場合、日本国籍を取得できません。出生後30日以内に在留資格取得申請を行わなければ、60日を超えると不法残留となり、退去強制の対象となります。
在留資格を持つ親を持つ子どもの場合は、多くの場合在留資格が認められます。例えば、「永住者」の親からは「永住者の配偶者等」の、就労系の在留資格を持つ親からは「家族滞在」の在留資格が与えられます。
しかし、在留資格がない親から生まれた子どもは、申請しても在留資格は認められず、申請自体が行われないケースがほとんどです。子どもに責任がないのは明白ですが、入管は成長後に申請しても原則として認めません。
在留特別許可制度の課題
入管は子どもと親を救済するために「在留特別許可」を認める場合もありますが、親に法律違反などの問題があれば子どもにも許可は下りません。親に問題がなくても、許可が必ず下りるわけでもないのが現状です。
alt 1990年から2024年7月までの不法在留者数の推移を示すグラフ。近年増加傾向にあることがわかる。
子どもたちの未来を守るために
在留資格がない子どもたちの問題は、人権と社会の在り方を問う重要な課題です。子どもたちの未来を守るためには、制度の改善や社会全体の理解が必要です。日本社会の一員として、私たちはこの問題について真剣に考え、より良い未来を築いていく必要があるのではないでしょうか。