楽天モバイルへの不正アクセス事件:中高生3人が逮捕、高度なサイバー犯罪の実態とは?

楽天モバイルの大規模なシステム不正アクセス事件で、なんと中高生3人が逮捕されました。高度な手口で巨額の利益を得ていた彼らの犯罪の実態、そして背後にある深刻な問題とは?

中高生による犯行、その驚くべき手口

警視庁は2月27日、楽天モバイルのシステムに不正アクセスし、回線契約を行ったとして、中学3年生2人(14歳、15歳)と高校1年生(16歳)の男子生徒3人を逮捕しました。彼らはオンラインゲームを通じて知り合った仲間で、通信アプリ「テレグラム」で購入した大量のIDとパスワードを使い、楽天モバイルのサーバーに侵入。約22万件もの個人データにログインすることに成功しました。

楽天モバイルのロゴ楽天モバイルのロゴ

驚くべきは、彼らが自作のプログラムを使って不正アクセスから回線契約までを自動化していた点です。不正に取得した回線を犯罪グループなどに転売し、約750万円相当の暗号資産を得ていたと見られています。セキュリティ専門家の田中一郎氏(仮名)は、「中高生がこのような高度なプログラムを作成できる技術力を持っていることは、サイバー犯罪の低年齢化が深刻なレベルに達していることを示しています」と警鐘を鳴らしています。

偶然の発覚、高度な手口ゆえの難しさ

今回の事件は、別の詐欺事件の捜査過程で、米原市の中学生の家宅捜索が行われたことがきっかけで発覚しました。警察が端末を解析した結果、楽天モバイルへの不正アクセスが明らかになったのです。捜査関係者によると、「証拠が残りにくい高度な手口だったため、逮捕までには時間を要した」とのことです。

今回の事件は、若者によるサイバー犯罪が新たな段階に突入したことを示唆しています。従来、若者のサイバー犯罪は学校の情報システムへの不正アクセスなど、比較的小規模なものが主流でした。しかし、今回の事件のように、大企業のセキュリティを突破するなど、その規模や巧妙さは年々増加しています。

サイバー犯罪の低年齢化、その背景と対策

1月には、約7000件のクレジットカード情報を不正に入手したとして、神奈川県伊勢原市の高校生が逮捕される事件も発生しています。若者のサイバー犯罪の低年齢化は、インターネットやスマートフォンの普及、プログラミング教育の推進など、様々な要因が絡み合って生じていると考えられます。

スマートフォンを操作する手元スマートフォンを操作する手元

ITジャーナリストの佐藤美咲氏(仮名)は、「家庭や学校でのITリテラシー教育の強化、そして社会全体でサイバーセキュリティに対する意識を高めることが重要です」と指摘しています。また、企業側もセキュリティ対策の強化はもちろんのこと、若者向けの啓発活動など、積極的な取り組みが求められています。

今回の楽天モバイルへの不正アクセス事件は、サイバー犯罪の低年齢化という深刻な問題を改めて浮き彫りにしました。未来を担う若者たちが犯罪に手を染めないよう、社会全体で対策を講じていく必要があると言えるでしょう。