アメリカの声(VOA)とラジオ・フリー・アジア(RFA)の閉鎖が決定し、中国の国営メディアはこれを歓迎する姿勢を見せています。VOAやRFAは長年、中国政府にとって目の上のたんこぶであり、その報道内容は中国国内で厳しい批判にさらされてきました。今回の閉鎖は、米国の情報発信戦略に大きな影響を与えることは間違いありません。一体何が起きているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
中国側の反応:歓喜と冷笑
中国の民族主義的なインフルエンサーたちは、VOA閉鎖のニュースに「本当に愉快」「笑い転げている」と喜びを露わにしています。環球時報のような国営メディアも、VOAを「嘘の工場」と呼び、その終焉を歓迎する社説を掲載しました。彼らは、VOAが新疆ウイグル自治区の人権問題、南シナ海問題、香港問題、新型コロナウイルス、中国経済など、中国にとって都合の悪い情報を発信してきたと非難しています。 VOAの中国語ウェブサイトはまだ稼働していますが、今後の動向が注目されます。
VOAスタジオの画像
VOAとRFA:その役割と歴史
VOAは数十年にわたり中国報道を行ってきました。特に1989年の天安門事件では、検閲されていない情報を中国国民に伝える重要な役割を果たしました。RFAは1996年に設立され、英語、中国語、ウイグル語、チベット語で放送を行っています。ウイグルやチベットといった少数民族の人権問題は、中国政府にとってデリケートなテーマであり、RFAの報道は常に監視の対象となっていました。
閉鎖の影響:米国の情報戦略に暗雲
RFAのベイ・ファンCEOは、今回の閉鎖を「独裁者や暴君へのご褒美」と表現しました。中国政府は、自国の国営メディアによる情報発信を強化しており、VOAやRFAのような独立したメディアの閉鎖は、中国のプロパガンダをさらに広げる機会となるでしょう。VOAは既に全職員1300人を休職扱いとしており、RFAも事業停止の可能性を示唆しています。これは、米国のソフトパワーの低下につながる可能性があり、今後の国際社会における情報戦に大きな影響を与えることが懸念されます。
19世紀中国の希少写真
今後の展望:不透明な情報空間
中国のネットユーザーの中には、トランプ前大統領の孤立主義的な外交政策と、VOA閉鎖を結びつけて考える人もいます。彼らは、米国の内政の混乱が中国にとって有利に働くと考えているようです。 ホワイトハウスは、今回の大統領令を「急進的なプロパガンダへの税金の投入を阻止するもの」と擁護しています。しかし、VOAやRFAの閉鎖が、真に自由で公正な情報環境の構築に貢献するのかどうかは、まだ不透明です。今後の動向に注目する必要があります。