半田市が市制施行100周年記念事業として実施している写真プロジェクト「おもひでフォトフォト」で、職員の操作ミスにより8年分の市民から提供された写真データが消失するという痛ましい出来事が発生しました。このプロジェクトは、市民が毎年同じ場所で同じメンバー、同じポーズで写真を撮り続け、2037年の市制施行100周年に写真展を開催することを目指すものでした。
8年間の記録が一瞬で… 市職員の誤操作でデータ消失
2017年度から始まったこの「おもひでフォトフォト」には、現在17組の市民が参加しています。参加者は、家族が増えていく様子など、毎年同じ場所で撮影した写真のデジタルデータを市に提出していました。しかし、2024年11月、職員がパソコン内のフォルダ整理作業中に誤って17年度から24年度までの8年分の全データを削除してしまったのです。
半田市役所
この出来事は翌12月に発覚し、市はデータ復元を試みましたが、残念ながら復旧することはできませんでした。「写真データ消失」というショッキングな知らせを受けた参加者の方々の落胆は計り知れません。写真には、家族の成長、思い出の風景、そして未来への希望が詰まっていたはずです。
市の対応と再発防止策
市はすぐに参加者に謝罪し、改めてデータの再提出を依頼しました。9組の市民からは再提出がありましたが、残りの8組からはまだ連絡待ち、もしくはデータの有無を確認中とのことです。
この事態を受けて、市は事業の継続を決定し、再発防止策として別の媒体へのデータ保存などを実施するとしています。市企画課の担当者は「これまでの労力を奪うことになり申し訳ない」と深く反省の意を示しました。写真家の中山一郎氏(仮名)は「デジタルデータは便利だが、消失のリスクも高い。バックアップの重要性を改めて認識すべきだ」と指摘しています。
市民の大切な思い出を守るために
今回の件は、デジタルデータの取り扱いに潜むリスクを改めて浮き彫りにしました。行政機関だけでなく、個人レベルでもデータ消失への対策を強化する必要性を強く感じさせられます。クラウドサービスの活用や、複数箇所へのバックアップなど、具体的な対策を講じることが大切です。
今後の展望
市は、今回の出来事を教訓に、データ管理体制を強化し、市民の信頼回復に努めるとしています。参加者の方々にとっては、失われたデータは二度と戻ってきませんが、残された写真と記憶を大切にしながら、未来に向けて新たな思い出を積み重ねていくことでしょう。
「おもひでフォトフォト」は、単なる写真プロジェクトではなく、市民の生活、歴史、そして未来を繋ぐ大切な事業です。この事業が、今後も市民の皆様に愛され、未来へと受け継がれていくことを願っています。