東大合格者数減少の真相:名門高校の進路指導に変化?

少子化の影響もあり、東大合格者数は減少傾向にありますが、名門高校においてもその傾向が見られます。果たして何が起きているのでしょうか?AERA、サンデー毎日、大学通信による合同調査に基づき、合格者数減少の背景を探ります。

開成はトップ維持も、灘・桜蔭は減少傾向

今年も開成高校が149人の合格者数を出し、トップの座を維持しました。しかし、長年トップ3の常連だった灘高校は77人で5位、桜蔭高校は51人と、減少傾向が目立ちます。

灘高校:東大「以外」の進路を選択する生徒が増加

灘高校の進路指導担当者によると、近年は東大合格を目指すよりも、医学部をはじめとする具体的な職業を志向する生徒が増えているとのこと。「どの大学を目指しなさい」といった指導ではなく、生徒の将来像を尊重し、その上で受験校を決めているそうです。

灘高校の校舎灘高校の校舎

森上教育研究所の森上展安氏も、灘高校の実力を測る指標は東大理III類の合格者数だと指摘。今年は9人と昨年より2人増加しており、依然として高いレベルを維持していると言えます。

桜蔭高校:共学校人気と数学入試の影響?

桜蔭高校は2022年から合格者数が減少傾向にあります。学校側は生徒の進路についてはコメントを控えていますが、森上氏は女子生徒の共学校志向の高まりを指摘。都立日比谷高校や渋谷教育学園幕張高校が人気を集めていることが、桜蔭の合格者数減少に影響している可能性があります。

また、今年の東大入試は数学で差がつきにくかったことも、数学教育に力を入れる桜蔭のような進学校には不利に働いたとされています。

駒場東邦もランク外:東大入試の厳しさ

トップ10の常連だった駒場東邦高校も、2年連続でランク外となりました。同校の進路指導担当者は、東大入試の厳しさと学年間の実力差を理由に挙げています。合格ライン付近には多くの受験生がひしめき合っており、わずかな差で合否が分かれる厳しい現実が浮き彫りとなっています。

東大合格者数の増減は、様々な要因が複雑に絡み合っています。少子化の影響に加え、生徒の進路選択の多様化、入試問題の傾向など、各高校はそれぞれの状況に合わせて対応を迫られています。今後も、名門高校の進路指導の動向に注目が集まりそうです。