関東大震災時の朝鮮人虐殺究明に生涯を捧げた山田昭次氏、95歳で逝去

関東大震災における朝鮮人虐殺の真相究明に尽力した歴史学者、山田昭次立教大学名誉教授が、15日に誤嚥性肺炎のため95歳で亡くなりました。 山田氏は、長年にわたり歴史研究に携わり、膨大な資料を基に、この悲劇的な事件の真相に迫ってきました。

歴史の闇に光を当てた研究者、山田昭次氏の功績

山田昭次氏は1928年埼玉県生まれ。1953年に立教大学文学部史学科を卒業後、1962年から1995年まで母校で教鞭を執りました。1964年の韓日会談反対運動への参加をきっかけに、在日コリアンを取り巻く問題や歴史認識の重要性に深く関わるようになり、その研究人生を虐殺事件の真相究明に捧げました。

山田昭次氏の著書山田昭次氏の著書

2003年に出版された『関東大震災時の朝鮮人虐殺:その国家責任と民衆責任』は、公文書をはじめ、新聞記事や各種団体による調査記録など、膨大な資料を網羅した労作です。 6000人以上が犠牲になったとされるこの事件の実態を詳細に記録し、実証的研究の金字塔と高く評価されています。 歴史学の専門家である 加藤一郎氏(仮名)は、「山田氏の研究は、一次資料に基づいた緻密な分析と客観的な記述で、歴史研究の手本と言えるでしょう。」と述べています。

史料に基づいた虐殺事件の真相究明

山田氏は、警察、内務省、陸軍などの公文書に加え、当時の新聞報道や様々な調査記録を丹念に分析し、虐殺事件の真相解明に挑みました。 その研究は、風評や偏見に惑わされることなく、史料に基づいた客観的な分析を重視したもので、歴史学界に大きな影響を与えました。

関東大震災関東大震災

日本と朝鮮半島:歴史認識の重要性を訴え続ける

山田氏は、関東大震災時の朝鮮人虐殺以外にも、植民地支配や戦争責任、在日コリアン問題など、日韓関係における様々な問題にも積極的に取り組んできました。 『植民地支配・戦争・戦後の責任:朝鮮・中国への視点の模索』『近現代史のなかの日本と朝鮮』『朝鮮人戦時労働動員』などの著書を通して、歴史認識の重要性を訴え続けてきました。

北朝鮮問題への取り組みと日朝関係の未来

山田氏は、北朝鮮問題についても深い関心を持ち、2001年に出版した『日朝条約への市民提言』では、日朝国交正常化に向けた具体的な提言を行っています。 冷戦後の国際情勢を踏まえ、日本が北朝鮮との関係改善に積極的に取り組む必要性を訴えました。 歴史研究者の視点から、東アジアの平和構築に向けた提言を積極的に行っていました。

未来への教訓:歴史から学ぶ平和の大切さ

山田昭次氏の逝去は、歴史学界にとって大きな損失です。しかし、氏の残した膨大な研究成果は、後世に引き継がれ、未来への教訓となるでしょう。 歴史を直視し、過去から学ぶことで、真の平和と和解への道が開かれるはずです。 氏の功績を偲び、改めて歴史の重みと平和の大切さをかみしめたいと思います。