ミャンマー中部で発生したマグニチュード7.7の壊滅的な地震。その爪痕は深く、軍事政権発表によると、死者数は1644人、負傷者数は3408人、行方不明者数は139人にものぼります。(2025年3月29日時点) 被害の全容はまだ把握しきれておらず、死者数はさらに増加する恐れがある中、国際社会へ異例の支援要請が出されています。
被害の深刻なマンダレー、そして首都ネピドー
特に被害が深刻なのが、震源に近い第2の都市マンダレー周辺地域です。694人の死亡が確認され、負傷者も1670人に達しています。家屋の倒壊も相次ぎ、約1600棟が損壊しました。首都ネピドーや北部ザガイン管区でも死者が報告されています。米地質調査所(USGS)は、最終的な死者数は1万人を超える可能性もあると予測しており、事態の深刻さを物語っています。
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幼児12人と教師の遺体発見、懸命の捜索続く
中部チャウセの倒壊した保育施設からは、幼児12人と教師1人の遺体が発見されました。50人以上の幼児が行方不明との情報もあり、救急隊による懸命な捜索活動が続けられています。マンダレーでは、マンション倒壊現場で90人以上ががれきの下敷きになっているという情報も入ってきており、一刻も早い救出が待たれます。
隣国タイ、バンコクでも高層ビル倒壊
地震の影響は隣国タイにも及び、首都バンコク中心部では建設中の高層ビルが倒壊。がれきの下敷きになった作業員の救出作業が続いています。タイ政府によると、少なくとも8人が死亡、約50人が行方不明となっています。当初は100人近くの安否が不明でしたが、懸命の捜索活動により確認が進んでいます。
がれきの下から生体反応、72時間との闘い
救助にあたるタイ当局担当者は、がれきの下から約15人の生体反応を検知したと発表しました。食料と水の供給を試みているものの、がれきの奥深くに閉じ込められている人もおり、救出は難航している模様です。生存率が大幅に低下するとされる発生から72時間が経過するまでに、救助を完了する必要があるとの認識を示し、時間との闘いが続いています。
国際社会からの支援、日本からのメッセージ
中国、ロシア、インドは、救助隊や医療チームをミャンマーに派遣。ASEANも加盟国であるミャンマーとタイへの支援を表明しました。2021年のクーデター以降、西側諸国との関係が悪化しているミャンマーですが、中露印といった国々からの支援受け入れ態勢は整っていたと言えます。日本からは石破茂首相がタイのペートンタン首相にメッセージを送り、被災者へのお見舞いを表明しました。
ミャンマー、タイ両国では、懸命な救助活動と並行して、今後の復興に向けた取り組みも始まっています。地震の被害を受けた地域への支援は、長期的な視点で継続していく必要があります。