ブラジル訪問後の佳子さまにみる皇室公務の過密化

各方面から高く評価された佳子さまのブラジル公式訪問。内親王として国際親善の務めを立派に果たされ、無事にご帰国された後、6月23日には昭和天皇の陵墓である武蔵野陵を参拝される予定でした。しかし、この予定は急きょ取りやめとなりました。

公務による負担の増加

佳子さまが武蔵野陵への参拝を取りやめられたのは、体調不良のためでした。ブラジルには6月5日から15日まで滞在され、移動日を除いた10日間で8都市を巡る非常にタイトなスケジュールをこなされました。ブラジル訪問に加えて、佳子さまは4月には石川県、5月には岐阜県への宿泊を伴う地方公務、さらに首都圏での式典や展覧会にも多数ご出席されていました。ブラジル訪問のための準備もこれらの公務の合間を縫って進められており、文字通り休む間もなく活動されていた結果、帰国後に体調の限界を迎えられたと考えられます。

1997年にブラジルを訪問された上皇后美智子さまも、ご帰国後に体調を崩されたことがありました。宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司氏も、「ブラジルは海外の訪問先の中でも最も過酷な行き先のひとつ」と指摘しています。山下氏は、今回のように訪問日程が1週間以上の場合は、せめて1日の休養日を設けるべきだと述べています。公式訪問では大統領や国王との会見、式典でのスピーチ、多くの視察先があり、体力面だけでなく精神的な負担も相当大きいとのことです。特にお一人での訪問の場合は、その負担はさらに増します。たとえご本人が「休養日はなくても大丈夫」とおっしゃっても、宮内庁や外務省は休養を考慮すべきであり、帰国後の静養期間も必要不可欠だと山下氏は強調しています。

ブラジル訪問など多忙な公務をこなされた佳子さまブラジル訪問など多忙な公務をこなされた佳子さま

しかし、佳子さまのご予定は帰国後も立て込んでいました。武蔵野陵への参拝を休まれた翌日には、日本芸術院賞の受賞者らを招いたお茶会にご出席されています。さらに、6月25日には3000字を超えるブラジル公式訪問の感想文を発表されました。訪問からあまり日がたたないうちに発表するため、ご帰国後すぐに執筆に取りかかられたものと思われます。

雅子さまの体調不良と皇室全体の課題

皇后としてお務めに励まれている雅子さまも、5月に体調を崩されています。5月25日に埼玉県で開催された「全国植樹祭」には、天皇皇后両陛下がお揃いでご出席される予定でしたが、雅子さまは体調不良のため急きょ予定を取りやめられました。4月からの硫黄島や「大阪・関西万博」ご訪問など、長距離移動を伴う公務が続いており、お疲れがたまっていたものと考えられます。

立て続けに報じられた皇族方の体調不良は、令和皇室における過密スケジュールの問題を浮き彫りにしました。お代替わり以降、公務の担い手不足が深刻化しています。現在、皇室は16人で構成されていますが、上皇ご夫妻は原則として公務を行われません。お二人を除いた14人のうち、4人は70歳を超えており、日常的に多くの公務を担うことは難しい現状です。残りの10人のうち、5人は未婚の女性皇族であり、現行制度ではご結婚後に皇籍を離れられることになります。このままでは、将来的に公務の担い手はさらに減少することが予想されます。

天皇家・秋篠宮家への集中と佳子さまの役割

お代替わり以降、特に天皇家と秋篠宮家の公務負担が増加しています。上皇ご夫妻のご退位に伴い、お二人が担われていた公務の多くは天皇陛下と雅子さまに引き継がれました。そして、陛下が皇太子時代に担っていた公務は、皇嗣である秋篠宮さまへ引き継がれています。ただし、すべての公務が機械的に引き継がれたわけではなく、「国民文化祭」など、両陛下が皇太子ご夫妻時代から引き続き担われている公務もあります。もともと秋篠宮さまが担われていた公務の一部は、ご自身が継続されるか、眞子さんや佳子さまといったお子様に引き継がれてきました。

2022年の眞子さんのご結婚以降、佳子さまは異例ともいえる数の公務をこなされています。お代替わりに伴い、眞子さんは秋篠宮さまから日本テニス協会の名誉総裁職などを引き継がれましたが、その後すぐに結婚され、テニス協会の名誉総裁職は現在、佳子さまが務めています。さらに、眞子さんの後任として日本工芸会の総裁職にも就任されました。これらの引き継ぎに加え、新規の公務も増えており、昨年1年間で佳子さまが担当された公務の件数は合計で134件に上ります。これは前年よりも20件近く多い、皇族としては異例の数字です。

ブラジル訪問後の佳子さまの体調不良や、雅子さまの事例は、皇室が直面している公務の過密化と担い手不足という構造的な課題を示唆しています。特に次世代の担い手として、佳子さまが果たされている役割は増しており、そのご負担は無視できないレベルに達しています。皇室の皆様が健康を維持されながら、国民のために公務を継続していくためには、この過密化の現状と将来の担い手不足に対する真剣な検討が求められています。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/0d48b28645aaff09a92f898d4504b7beea6cefd4