ミャンマーで発生した地震の影響で、隣国タイの首都バンコクでも高層ビルに被害が出ているというニュースが飛び込んできました。特に、日系企業のオフィスや在留邦人の住むコンドミニアムなど、多くの高層ビルで外壁の落下や内壁のひび割れが確認されているとのこと。余震への不安も募り、現地では緊張感が高まっています。
バンコクの現状:高層ビル群に潜むリスク
タイは世界で5番目に在留邦人の多い国で、その7割以上がバンコクに集中しています(外務省発表)。バンコク中心部には高層ビルが立ち並び、近代的な景観を形成しています。しかし、今回の地震で、これらの高層ビルが新たなリスクに直面していることが明らかになりました。
バンコク中心部の高層ビル群
2007年以降、バンコクでは高さ15メートル以上の建物に対し耐震化が義務付けられました。しかし、それ以前に建てられた高層ビルも多く、今回の地震で耐震性の問題が浮き彫りになった形です。建築基準の専門家である山田一郎氏(仮名)は、「古いビルの耐震基準は現行のものと比べて低い可能性があり、早急な点検が必要です」と指摘しています。
在留邦人の声:不安と戸惑い
コンドミニアムの18階に住む日本人女性(46歳)は、建物のタイルが崩れるなどの被害を受けたと語っています。「タイで地震に遭うとは思っていなかったので、とても驚きました。余震が心配で、非常食などの備えを考えなければと思っています」と不安な様子を明かしました。中には、自宅の損壊がひどく、引っ越しを検討する人もいるようです。
崩れたタイル
SNS上では、高層ビルのパネルが落下したり、屋上プールの水が溢れ出たりする動画が拡散され、被害の深刻さを物語っています。
バンコク都の対応:全ビル対象の安全点検へ
バンコク都知事は、被害状況について「大きな被害は建設中の現場に限られている」と強調しました。しかし、ひび割れなどの被害は建設時期に関わらず発生していることから、全てのビルを対象に安全点検を行うよう指示を出しました。この迅速な対応は、市民の安全確保に不可欠と言えるでしょう。
今後の見通し:安全確保と対策が急務
今回の地震は、バンコクの高層ビル群の耐震性について改めて考えさせられる出来事となりました。今後の余震の可能性も考慮し、建物の安全確認や防災対策を徹底することが重要です。また、在留邦人は、大使館や領事館からの情報に注意し、安全確保に努める必要があります。
今回の地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りいたします。