ミャンマー中部で3月28日に発生した地震は、想像を絶する被害をもたらしました。国軍の発表によると、4月1日時点で死者数は2719人に達し、負傷者数は4521人、未だ441人が行方不明となっています。第二の都市マンダレーを中心に、懸命な救助活動が続けられていますが、医療体制は崩壊状態に陥り、被災者への十分な治療が困難な状況です。
崩れ落ちた日常、マンダレーの惨状
マンダレーの病院の様子
マンダレー中心部の病院では、敷地外にまで簡易ベッドが設置され、多くの負傷者が苦痛に喘いでいます。倒壊した大型アパート「スカイビラ」の住民が多く搬送され、その中には、がれきの下で家族を失いながら奇跡的に生還したシェー・ラさん(28歳)の姿もありました。「生きているのが信じられない」と語る彼女の言葉には、地震の恐怖と悲しみが凝縮されています。
病院の医師によると、病床数は既に限界を超え、300人を超える負傷者を受け入れているとのこと。マンダレーには他に2つの病院がありますが、首都ネピドーの病院が崩壊し、患者がマンダレーに搬送されてきているため、更なる負担がかかっています。医療崩壊は深刻な状況です。
懸命の捜索活動、続く家族の祈り
スカイビラ跡地では、今もなお、家族の救出を待つ人々が救助隊の活動を見守っています。妹の救出を待ち続けるアイ・アイ・チョーさん(40歳)は、「遺体でもいいから妹に会いたい」と涙ながらに訴えました。夫の遺留品を手に泣き叫ぶ女性の姿も。地震の悲劇は、多くの家族に深い傷跡を残しています。
情報不足、広がる不安
国軍の支配が及ばない地域では、被害状況の把握が困難な状況です。2021年のクーデター以降、国軍と少数民族武装勢力との戦闘が激化し、ミャンマー国内は分裂状態にあります。マンダレー以外の地域では情報が不足しており、被災者の実態は未だ明らかになっていません。
国際社会への支援要請
民主派勢力の「国民統一政府(NUG)」は国際社会に緊急支援を訴え、国際救済委員会(IRC)も水やテント、食料などの必需品提供を呼びかけています。一刻も早い支援が求められています。
地震の傷跡、復興への道のり
今回の地震は、ミャンマー社会の脆弱性を浮き彫りにしました。医療体制の脆弱さ、情報伝達の遅れ、そして政治的な混乱。これらが重なり、被災地の苦境をさらに深刻なものにしています。復興への道のりは長く険しいものとなりますが、国際社会の支援とミャンマー国民の力強い意志が、必ずやこの国を再び立ち上がらせる原動力となるでしょう。