「右か左か、どっちに行く?」と聞く人は、頭が悪い。頭がいい人はどう聞いている?


● 無視ではなく「教えて」と聞く

 「ピーナッツバターとジャム、どっちのサンドイッチがいい?」といった2つの選択肢を提示する質問をするのは悪いことではない。

 時間に追われている、すぐに結論を出したい、といったときなどには、特に便利だ。例えば、相手が子どもで、ランチにどのサンドイッチを食べたいかをすぐに知りたいような場合だ。

 問題が生じるのは、実際には多くの選択肢があるのに、この質問によって答えを2つに限定してしまうことだ。例を見てみよう。

 「今日会いたい? 明日会いたい?」
→実際には、明後日か来週も選択肢になるかもしれない。

 「ベジタリアンですか、それとも肉を食べますか?」
→これも白か黒かの質問にすべきではない。相手はビーガン(肉や魚介類だけでなく、卵や乳製品などの動物性食品も食べない)やペスカタリアン(肉は食べないが、卵や乳製品、魚介類などは食べる)かもしれないからだ。

 「左に行きたいですか? 右に行きたいですか?」
→真っ直ぐ進む、来た道を引き返すという選択肢もあるかもしれない。

 私たちはこのような質問をされると、質問者が物事を事前に考え抜いていて、本当に選択肢は2つしかないと思い込んでしまいがちだ。

 しかし、質問と提示された選択肢をよく見てみよう。

 実際には、選択肢が2つしかない場合はめったにない。これは、少々いい加減な質問なのだ。質問者が、たまたま思いついた2つの選択肢を提示するだけ、というケースが多い。

 このような場合は、オープン・クエスチョンにしてみてはどうだろう。

 先ほどの例なら「サンドイッチは何にする?」「いつ会いたい?」「何を食べますか?」「どちらの方向に行くべきだと思いますか?」と尋ねるのだ。

 (本記事は『QUEST「質問」の哲学――「究極の知性」と「勇敢な思考」をもたらす』の一部を抜粋・編集したものです)

エルケ・ヴィス/児島修



Source link