日本の経済成長が停滞している現状、一体何が原因なのでしょうか?社会学者・小熊英二氏の著書『日本社会のしくみ』を紐解きながら、日本社会に根深く存在する「年功序列」という慣習が停滞の一因となっている可能性を探り、これからの日本の進むべき道を考えてみましょう。
年功序列という名の暗黙のルール
日本企業には、古くから独特の慣習が存在します。それは社員の能力や成果よりも、勤続年数や年齢を重視する「年功序列」です。この慣習は、社員の生活の安定と将来への希望を保証し、企業への忠誠心を育む効果があるとされてきました。しかし、同時に硬直的な組織構造を生み出し、イノベーションを阻害する要因にもなっているという指摘もあります。
昇進イメージ
1976年に全日本能率連盟が実施した大企業の調査では、高学歴者も低学歴者も同様に年功序列に基づいて昇進・昇給しており、学歴による違いは昇進速度のみという結果が出ています。つまり、仕事内容に関わらず、年齢と勤続年数が昇進の決め手となっていたのです。
ほぼ全員が幹部候補?驚きの昇進システム
当時の日本の大企業では、大卒正社員はほぼ全員が幹部候補生として扱われ、40代で約7割が役職に就いていました。1976年の『労働白書』によれば、45~49歳の大卒社員の約30%が課長、約30%が部長に昇進しており、次長を含めると約7割が課長以上の役職に就いていたという驚きのデータも存在します。
決まりきった昇進コース
驚くべきことに、昇進速度もほぼ決まっていました。全日本能率連盟の報告書によると、「22歳で大学を卒業すると、32歳前後で係長、37歳前後で課長、45歳前後で部長」というのが一般的な昇進コースでした。そして、この昇進コースは業種や企業規模に関わらず、ほぼ同じだったというのです。まるで社会的な相場のようなものが形成されていたかのようです。人事コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「このような硬直的な昇進システムは、社員のモチベーション低下や優秀な人材の流出につながる可能性がある」と指摘しています。
昇進コース
変化の兆し
近年、成果主義の導入やジョブ型雇用の拡大など、日本企業の雇用システムにも変化の兆しが見られます。しかし、年功序列の文化が根強く残っている企業も多く、真の改革にはまだ時間がかかるかもしれません。日本経済の活性化のためには、企業は個人の能力や成果を適切に評価するシステムを構築し、社員のモチベーション向上とイノベーション促進を図ることが重要です。
未来への展望
日本が停滞から脱却するためには、年功序列という慣習を見直し、能力主義に基づいた人事制度を確立していく必要があると言えるでしょう。これは一朝一夕に実現できるものではありませんが、企業と社会全体が意識改革を進めていくことで、明るい未来を切り開くことができるはずです。