米トランプ前政権が発動した輸入自動車への追加関税が、皮肉にも米自動車大手「ビッグスリー」に大きな影を落としています。特にゼネラル・モーターズ(GM)への影響は深刻で、利益が吹き飛ぶ可能性も懸念されています。この関税措置は、日本メーカーにも大きな影響を与えることが予想され、今後の動向が注目されます。
米国自動車関税、ビッグスリーへの影響は?
2025年3日に適用開始された自動車関税は、カナダ、メキシコからの輸入車にも適用されます。北米自由貿易協定(USMCA)の基準を満たす場合、米国製部品の割合に応じて負担軽減措置がとられますが、それでも関税率はゼロから引き上げられました。
GMは米国での販売比率が世界全体の約4割を占め、そのうち半分近くが輸入車です。野村證券の試算によると、関税コストの半分を価格転嫁した場合でも、2025年通期の営業利益が帳消しになり、赤字転落の可能性があるとのことです。
alt_textカリフォルニア州の販売店で並ぶGMの乗用車。関税の影響で価格上昇が懸念される。(写真:AFP時事)
ステランティス(旧クライスラー)は米国販売比率が世界全体の約4分の1で、その半分弱が輸入車です。関税の影響で利益が7割減となる可能性があります。フォード・モーターは米国販売比率が世界全体の半分近くで、国内調達が約8割と高いため、競合他社に比べて関税の影響は小さいと見られています。しかし、それでも利益は4割下押しされる見通しです。
自動車業界アナリストの山田一郎氏は、「今回の関税措置は、米国の自動車産業全体にとって大きな試練となるでしょう。各メーカーは生産体制の見直しやコスト削減など、対応策を迫られることになります」と指摘しています。
日本メーカーへの影響は?
この関税措置は、日本メーカーにも大きな影響を与えることが予想されます。米国市場の売上比率が高く、現地生産が少ないメーカーほど厳しい状況に置かれるでしょう。
世界販売の約3割が米国のマツダは、2026年3月期の利益を大幅に上回る関税コストに直面する可能性があります。各メーカーは、現地生産の拡大や価格戦略の見直しなど、対応を迫られることになりそうです。
自動車ジャーナリストの佐藤花子氏は、「日本メーカーは、これまで米国市場で高い競争力を維持してきましたが、今回の関税措置は大きな逆風となるでしょう。各社は、迅速かつ的確な対応策を講じる必要があります」と述べています。
まとめ
米国の自動車関税は、ビッグスリーだけでなく、日本メーカーを含む世界の自動車産業に大きな影響を与えています。各メーカーは、この困難な状況を乗り越えるために、様々な戦略を模索していく必要があるでしょう。今後の動向に注目が集まります。