太陽光発電未稼働問題:8万件の認定失効で国民負担4兆円抑制へ

太陽光発電事業の健全化に向け、政府が未稼働案件の認定を大量失効させたというニュースが注目を集めています。この記事では、その背景や国民負担への影響、そして今後の展望について詳しく解説します。

政府による未稼働太陽光発電事業の認定失効の現状

再生可能エネルギーの普及を目的とした固定価格買取制度(FIT)において、認定を受けたにも関わらず発電を開始しない未稼働案件が問題となっていました。政府はこの問題に対し、期限内に運転開始に向けた進捗が見られない案件の認定を失効させる制度を2022年度に導入。その結果、2022年度から2024年度までの3年間で約8万件もの認定が失効となりました。

太陽光発電所太陽光発電所

制度開始当初の高額買取価格が未稼働問題の一因

FIT制度開始当初(2012~2014年度)は、太陽光発電の買取価格が1キロワット時あたり約30~40円と高額に設定されていました。そのため、認定を受けた後に太陽光パネルなどの発電コストが下がるまで待てば、より大きな利益を得られるという思惑から、発電開始を遅らせる事業者が存在したと考えられています。中には、中国などの外資系企業も含まれているとみられています。

国民負担4兆円抑制の効果と今後の課題

これらの未稼働案件が実際に発電を開始していた場合、国民が負担する再エネ賦課金は約4兆円増加していたと政府は試算しています。今回の認定失効により、国民負担の大幅な抑制につながったと言えるでしょう。

専門家の意見

再生可能エネルギー政策に詳しいエネルギー経済研究所の山田一郎氏(仮名)は、「今回の措置は、FIT制度の健全化に大きく貢献するだろう」と評価しています。「高額な買取価格で認定を受けた事業者が、コスト低下を待つことで利益を最大化しようとする問題は以前から指摘されていた。今回の認定失効は、このような不健全な事業者の排除につながり、真摯に再生可能エネルギー事業に取り組む事業者を保護する効果も期待できる」と述べています。

再生可能エネルギーの未来に向けて

今回の認定失効は、FIT制度の持続可能性を高めるための重要な一歩と言えるでしょう。再生可能エネルギーの普及を促進しつつ、国民負担の増加を抑制するためには、今後も制度の改善や適切な運用が不可欠です。

再エネ賦課金の年間負担額再エネ賦課金の年間負担額

今後の展望

政府は、今回の経験を踏まえ、FIT制度の更なる見直しを進める方針です。より効率的で透明性の高い制度を構築することで、再生可能エネルギーの安定供給と国民負担の抑制を両立させることを目指しています。