冬ドラマ総括!「アンサンブル」はなぜ期待外れ? 弁護士ドラマの新たな課題とは?

2024年の冬ドラマもいよいよ終盤。数々の話題作が生まれた今クール、成功と失敗を分けたポイントは一体何だったのでしょうか? 今回は、TVコラムニストの桧山珠美氏に冬ドラマを振り返っていただき、その勝敗を分析します。

桧山珠美氏が選ぶ冬ドラマベスト&ワースト

桧山氏は「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS系)、「御上先生」(TBS系)、「ホットスポット」(日本テレビ系)を高く評価する一方で、ワースト1位には「アンサンブル」(日本テレビ系)を挙げました。

川口春奈と松村北斗川口春奈と松村北斗

期待値が高すぎた「アンサンブル」

川口春奈演じる現実主義の弁護士と、松村北斗演じる理想主義の弁護士が、恋愛トラブルの裁判を通して成長していくリーガルラブストーリー「アンサンブル」。第8話では、松村演じる真戸原の毒親が登場し、真戸原が失踪するという展開がありました。しかし、桧山氏は、この作品に期待外れを感じたと言います。

「川口春奈と松村北斗という人気俳優の共演は、大きな期待を集めました。しかし、弁護士ドラマでありながら、恋愛に偏りすぎた点が残念でした。過去の恋愛トラウマを抱える弁護士という設定も、物語の中で十分に活かされていなかったように感じます。」

桧山氏は、NHK連続テレビ小説「おむすび」との共通点を指摘します。

「『おむすび』と同様に、『アンサンブル』も安易なトラウマ設定に頼りすぎていました。トラウマは繊細なテーマであり、安易な扱いは視聴者の共感を損なう可能性があります。」

現代の恋愛ドラマに求められるもの

桧山氏は、恋愛ドラマの全盛期からの変化についても言及します。

「10年前のドラマであれば、松山ケンイチと広瀬すずが演じたような関係性は恋愛に発展していたでしょう。しかし、『クジャクのダンス』では、二人は恋愛関係にはならず、人生の理解者という立場で物語が進んでいきました。現代のドラマでは、恋愛中心のストーリー展開だけでなく、仕事や人間関係など、多角的な視点が求められています。」

弁護士ドラマの新たな課題弁護士ドラマの新たな課題

弁護士ドラマとしての物足りなさ

「アンサンブル」は、弁護士ドラマとしての側面も物足りなかったと桧山氏は指摘します。

「弁護士という設定を生かしきれず、仕事を通してトラウマと向き合う姿が描かれていれば、より共感できたはずです。キャスティングありきで、人気俳優を起用すれば視聴率が上がるという安易な考え方が透けて見える作品でした。」

春ドラマへの期待

桧山氏は、春ドラマに期待を寄せます。

「春ドラマでは、キャスティングだけでなく、脚本と演出で魅せる骨太な作品が登場することを期待しています。視聴者の心を掴むためには、緻密なストーリー展開と俳優の演技力が不可欠です。」

まとめ

冬ドラマを振り返り、「アンサンブル」の期待外れ感や現代の恋愛ドラマに求められるものについて考察しました。春ドラマでは、より質の高い作品が登場することを期待したいですね。