韓国の竹島領有権主張への具体的な反論戦略とは?

日本政府が2025年版外交青書で竹島(韓国名:独島)を日本の固有の領土と明記したことを受け、韓国では反論の動きが活発化しています。誠信女子大学の徐坰徳教授は、従来の抗議だけでなく、より長期的な戦略が必要だと訴えています。本稿では、徐教授の提言を中心に、韓国側の主張と今後の展望について解説します。

日本の竹島領有権主張の現状

外交青書での竹島領有権の主張は、2008年以降毎年繰り返されています。特に、韓国による不法占拠という主張は2018年から継続的に行われており、日本側の強硬な姿勢が鮮明になっています。さらに、2024年春から使用される高校社会科教科書にも同様の記述が多数掲載されるなど、教育現場への浸透も懸念されています。また、産経新聞などの右翼メディアも韓国の不法占拠を非難する論調を強めており、日本国内における世論形成にも影響を与えていると言えるでしょう。

韓国の領土、独島(トクド、日本名・竹島)。[写真 テジョ海運]韓国の領土、独島(トクド、日本名・竹島)。[写真 テジョ海運]

韓国の反論戦略:実効支配の強化と文化観光コンテンツの開発

徐教授は、こうした日本の動きに対し、単なる抗議にとどまらず、具体的な行動を伴う戦略の必要性を強調しています。その一つが独島へのアクセス改善です。上陸施設の拡充により、より多くの国民が容易に独島を訪れることができるようにすることで、実効支配の強化につながると考えられます。

鬱陵空港開港による観光振興

また、数年後に開港予定の鬱陵空港は、独島へのアクセス向上に大きく貢献すると期待されています。鬱陵島と独島を韓国を代表する観光地に育成することで、世界中の人々に独島が韓国領土であることを自然に認識させる効果が期待できます。

文化観光コンテンツの開発

さらに、徐教授は独島に関する独自の文化観光コンテンツの開発を提唱しています。例えば、独島の歴史や自然に関する展示施設の充実、独島をテーマにしたイベントの開催など、多様なコンテンツを通じて、独島への関心を高め、韓国領土としての認知度向上を図ることが重要です。韓国料理研究家のキム・スンヨン氏(仮名)も、「独島周辺で獲れる新鮮な海産物を使った郷土料理を世界に発信することで、食文化を通じて独島の魅力を伝えることができる」と述べています。

今後の展望

日本の竹島領有権主張は、今後も継続すると予想されます。韓国としては、国際社会への働きかけに加え、国内における実効支配の強化、文化観光コンテンツの開発など、多角的な戦略を展開していく必要があるでしょう。これらの取り組みを通じて、独島が韓国領土であるという国際的な認知度を高めることが、今後の重要な課題となるでしょう。