EU、米国産品への報復関税を発動へ:貿易摩擦激化の懸念

EUは、トランプ前米政権が導入した鉄鋼・アルミニウムへの関税に対する対抗措置として、米国製品への報復関税を段階的に発動することを発表しました。この動きは、世界的な貿易摩擦の激化を招く可能性があります。

報復関税発動の背景と経緯

米国は2018年、国家安全保障を理由に鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%と10%の関税を賦課しました。この措置は、EUを含む多くの国から強い反発を受け、WTO(世界貿易機関)への提訴にも繋がりました。EUは長らく交渉による解決を模索してきましたが、米国の姿勢に変化が見られないことから、ついに報復措置に踏み切ることとなりました。

EUの報復措置の内容

EUは、米国からの輸入品に対し、段階的に報復関税を課す予定です。第一弾は2018年6月15日に発動され、対象品目にはオートバイ、バーボンウイスキー、ジーンズなどが含まれています。第二弾は同年7月1日に発動され、トウモロコシ、小麦、大麦、米、鶏肉などが対象となります。第三弾は12月1日に発動予定で、アーモンドと大豆が追加されます。これらの関税率は25%程度となる見込みです。

EU旗とアメリカ国旗EU旗とアメリカ国旗

報復措置の対象品目選定の意図

EUは、報復関税の対象品目を慎重に選定しています。影響を受ける米国の産業や地域を考慮し、政治的なメッセージ性も持たせているとされます。例えば、バーボンウイスキーはケンタッキー州の主要産業であり、共和党の有力議員の支持基盤となっています。

世界経済への影響

EUの報復措置は、世界的な貿易摩擦をさらに激化させる可能性があります。米国がさらなる対抗措置を取れば、報復の連鎖に陥り、世界経済に深刻な影響を与えることが懸念されます。専門家の中には、「貿易戦争は誰にとっても利益にならない」と警鐘を鳴らす声もあります。例えば、国際経済学者の山田太郎氏は、「保護主義的な政策は、世界経済の成長を阻害するだけでなく、消費者の負担を増大させる」と指摘しています。(山田太郎氏は架空の人物です)

今後の見通し

EUは、米国が公正かつバランスのとれた交渉に応じる姿勢を見せれば、報復措置を停止する用意があると表明しています。しかし、米国の対応次第では、貿易摩擦が長期化する可能性も否定できません。今後の展開が注目されます。

日本への影響

日本も米国の鉄鋼・アルミニウム関税の影響を受けており、今後の貿易摩擦の激化は日本経済にも大きな影響を与える可能性があります。日本政府は、WTOのルールに基づいた自由貿易体制の維持に向けて、国際社会と連携していく必要があります。