母の決闘:奪われた息子を取り戻す、揺るぎない母の愛と覚悟

幼い息子を誘拐され、4年間探し続けた母親。ある日、瓜二つの金髪の少年を見つける。確信と共に、少年を育てている女性・ローゼスに詰め寄るが、激しい反発を受ける。証拠がない状況で、母親はローゼスにある提案をする。それは、神に裁きを委ねる”決闘”だった。

神に祈りを捧げる決闘

誘拐された息子と瓜二つの少年を見つける母親誘拐された息子と瓜二つの少年を見つける母親

銃を手にしたローゼスは、狩りの経験を生かし容赦なく母親を狙う。銃弾は母親の肩や頬をかすめる。対する母親は、銃に不慣れな様子で、3発の弾のうち2発を地面に落としてしまう。絶体絶命の状況にも関わらず、母親の表情には一切の動揺は見られない。

揺るぎない母の愛

4年間、探し続けた我が子。その存在は、母親にとって紛れもない真実。ローゼスに向かい、静かに語りかける。「これは、正しき者に勝利が与えられる決闘。ならば、弾は一発あれば十分」。

決闘の場で銃を構える母親決闘の場で銃を構える母親

その言葉通り、母親は残る一発の弾丸でローゼスの眉間を射抜く。母の愛は、どんな困難にも屈しない強さを持っていた。

天野リサ先生インタビュー:創作秘話とこだわり

“母の決闘”は、漫画家・天野リサ先生による短編作品。サンデーSの「一撃必殺」というテーマで描かれた。フェンシングの試合から着想を得て、一撃も受けずに勝利する決闘を描きたいという思いから生まれたという。

圧倒的な母の強さ

天野先生は、7ページ目の母親の姿に特にこだわったと語る。決闘に挑む覚悟、揺るぎない信念、そして息子を奪われた怒り。それらの感情を表現することに注力した。

名誉を守るための戦い

8ページ目の「私の名誉を守るためですよ」というセリフも、天野先生のお気に入りの一つ。決闘は単なる揉め事の解決手段ではなく、名誉を守るための行為であるという考えが込められている。

読み返す度に新たな発見を

天野先生は、作品を制作する上で、主人公の活躍を優先し、読み返す度に新たな発見があるような要素を入れることを意識しているという。読者にとって、何度も楽しめる作品を目指している。

まとめ

“母の決闘”は、奪われた息子を取り戻すため、揺るぎない愛と覚悟で決闘に挑む母親を描いた感動的な物語。天野リサ先生の繊細な描写と力強いストーリーテリングが、読者の心を掴む。母の愛の強さを改めて感じさせる作品だ。