自民党の佐藤正久参院議員は10日の参院外交防衛委員会で、日本航空機の御巣鷹山墜落事故を巡り「自衛隊が撃墜した」との言説が書籍などで流布されているとして「自衛隊員の名誉に関わる問題だ。多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱だ」と問題視した。中谷元防衛相は「自衛隊が墜落に関与したことは断じてない。しっかり対応したい」と語った。
■「火炎放射器で証拠隠滅」
事故は昭和60年8月12日夜に発生。群馬県・御巣鷹山に日航123便が墜落し520人が死亡した。事故原因について航空事故調査委員会は62年6月、報告書を公表し、後部圧力隔壁の不適切な修理に起因するとしている。
佐藤氏によれば、問題の書籍は駿河湾で対空ミサイル訓練を行っていた護衛艦が日航123便を誤射し、撃墜の痕跡を隠すため、墜落地点の特定を遅らせた上、墜落現場で自衛隊が火炎放射器で証拠を隠滅したと指摘しているという。
佐藤氏は書籍について「ベストセラーになり、ユーチューブで拡散されている」と述べ、「墜落の後、徹夜で尾根を踏破して危険を顧みず現場で多くの人命救助に当たった隊員に対する侮辱である」と対応を訴えた。
■推薦図書に…場内ざわめく
この書籍が全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれていると指摘されると、委員会室がどよめく場面もあった。佐藤氏は文部科学省にも対応を求め、野中厚文科副大臣は「懸念を当該団体にしっかり伝えていく」と応じた。
さらに、御巣鷹山の登山道に建立された慰霊碑には「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」と記されているという。佐藤氏は碑の写真を示して「放置したままでいいのか。慰霊碑を作った人にアプローチして事実誤認だと言わないと(いけない)」と訴え、中谷氏も「しっかりと対応していきたい」と語った。(奥原慎平)