台湾で発見された化石、デニソワ人男性と判明!アジアにおける人類史の複雑さを示唆

台湾沖の海底で発見された下顎の骨の化石が、古代人類デニソワ人の男性のものであることが最新の研究で明らかになりました。 この発見は、アジアにおける人類の歴史がこれまで考えられていたよりも複雑であった可能性を示唆する、非常に重要なものです。

デニソワ人とは?その謎に迫る

デニソワ人は、シベリア南部のデニソワ洞窟で発見された指の骨の化石から、2010年にその存在が証明された謎多き古代人類です。 ネアンデルタール人と同時代に生きており、現生人類とも交雑していたと考えられています。 日本人を含む現代人のDNAにも、わずかにデニソワ人の遺伝情報が残っていることが知られています。 これまで化石はシベリアやチベット高原で発見されていましたが、アジア北部以外での発見は今回が初めてです。

alt: デニソワ人の想像図alt: デニソワ人の想像図

最新技術で解明された驚きの事実

総合研究大学院大学の蔦谷匠助教ら国際研究チームは、台湾で発見された下顎の骨の化石から微量のタンパク質を採取し、最新技術を用いて分析を行いました。 その結果、デニソワ人に特有のタンパク質配列が確認され、男性特有のタンパク質も検出されたのです。 この化石は19万~1万年前のものと推定され、大きくて頑丈な形状が特徴です。

alt: デニソワ人と判明した下顎の骨の化石alt: デニソワ人と判明した下顎の骨の化石

アジアの人類史に新たな光

今回の発見は、デニソワ人の分布域が従来考えられていたよりも南方に広がっていたことを示しています。 東京大学総合研究博物館の海部陽介教授は、「アジアにおける人類の歴史が、これまで考えられたよりも複雑だった可能性がある」と述べています。 これまで、この骨は北京原人やジャワ原人、フローレス原人に続く「アジアで4番目の原人」のものと考えられていましたが、今回の研究によりデニソワ人であることが確定しました。 国立科学博物館の篠田謙一館長も、現代人のゲノム解析からアジア南東部にもデニソワ人が分布していたことは予想されていたものの、今回初めて具体的な証拠が提示されたことの意義深さを強調しています。

デニソワ人研究の今後の展望

今回の発見は、デニソワ人の進化や拡散、そして現生人類との関係性について、より深い理解につながる重要な一歩です。 今後の研究により、デニソワ人の生態や文化、そして絶滅に至った経緯など、更なる謎の解明が期待されます。 デニソワ人の研究は、私たち自身の起源を探る旅と言えるでしょう。