1歳で芸能界に足を踏み入れて以来20年間、一度も立ち止まることなく走り続けてきた俳優の鈴木福(21)。2011年には、ドラマ「マルモのおきて」で共演した芦田愛菜とのユニット「薫と友樹、たまにムック。」として「マル・マル・モリ・モリ!」を歌い、わずか7歳で「第62回NHK紅白歌合戦」に出場するなど、そのキャリアは華々しい。しかし、その一方で鈴木は20年間、「物珍しい目」で見られ続けるという特異な経験をしてきた。本記事では、彼がいかにその葛藤を乗り越え、自己を確立してきたのか、そして人生の悩みを抱える人々へ贈る、鈴木福ならではの心温まるアドバイスに迫る。
「芸能生活」は「ただの人生」そのもの
1歳でデビューし、21歳となった現在まで芸能界で歩んできた鈴木。自身の20年間を振り返り、彼は実に淡々と語る。「芸能生活20年とか言われますけど、僕にとってはただの人生なので。そこに何も違いがないんです」。彼の言葉からは、芸能活動と私生活の間に境界線がない、独特の人生観が垣間見える。
俳優としての経験は、彼の興味関心にも大きな影響を与えてきた。野球や料理を好きになったのも、全て演じた役柄を通じてだという。彼は冗談めかしてこう話す。「僕が生まれてから、自発的に好きになったのは『仮面ライダー』ぐらいですね」。この発言は、彼の「芸能生活」がいかに「自身の人生」と深く一体化しているかを物語っている。
成長した俳優鈴木福の現在を捉えたポートレート
中学生時代の葛藤と両親の支え
誰もが多感な時期を過ごす中学生の頃、鈴木も例外ではなかった。学業と仕事の両立に加え、大好きな野球への思いが交錯する中で、精神的にしんどさを感じ、「休みたい」とさえ思うことがあったという。そんな時、両親は彼に寄り添いながらも、こんな言葉をかけた。「(芸能活動を)やめてもいいと思うけど、今やめたらもったいなくない?」。
この両親からの言葉が、彼の心をどれほど軽くしたか。彼は続ける。「そう言ってくれていたので、自分の気持ちも楽になったと思うし、やめたらもったいないっていう意味が、今となっては本当にその通りだと思うので、続けてきたことに価値があるなって思います」。事実、彼のキャリアには空白期間がほとんどない。「作品に出てなかった時期ってあんまりなかったんです。僕のキャリアの変遷をWikipediaとかで見ていくと、1年に1作もドラマや映画に出なかった時期はないと思うんです」と語るように、継続の価値を体現している。
鈴木福が自身の芸能生活と人生の同一性について語る様子
優先順位と「好き」へのこだわり
小学校、中学校時代は、学校に通いながら多忙な仕事もこなしてきた鈴木。やりたいことが多すぎる中で、彼なりに明確な優先順位を定めていた。「学生であるっていうことが第一に来て、その次に仕事を受けたらやらなきゃいけないっていう責任が発生して、第二に来ている。そのうえで、プラスでやりたいことが野球」。この順序付けが、彼の多忙な日々を支える基盤となっていた。
特に野球への情熱は強く、中学校時代に入部した野球部では、仕事の都合で練習に毎日参加できないもどかしさを感じていた。思うように上達できない現実を前に、「仕方ないよなとは思いながらも、もっとうまくなりたいっていう思いもあって、いろいろ思っているところはありましたね」と、彼の野球への真摯な思いがうかがえる。
まとめ
鈴木福の20年にわたる芸能キャリアは、彼にとって「ただの人生」そのものであり、その中で培われた独自の価値観と強さを示している。子役として注目され、常に公の目に晒されてきた葛藤を、両親の理解と自身の継続的な努力によって乗り越えてきた彼の経験は、私たちに「続けることの価値」と「自分なりの優先順位を見つける大切さ」を教えてくれる。彼の言葉は、困難に直面する多くの人々にとって、自己受容と前進へのヒントとなるだろう。