トルコとイスラエル、シリアをめぐる緊張関係が再び表面化しています。エルドアン・トルコ大統領は、イスラエルがシリア国内の分断を煽り、アサド政権崩壊後の和平プロセスを阻害していると非難しました。この発言は、アンタルヤで開催された外交フォーラムでのもので、シリア暫定政府のシャラア大統領との会談後に行われました。
イスラエルの介入とシリア和平への影響
エルドアン大統領は、イスラエルがシリアの少数派を暫定政府に敵対させることで、アサド政権崩壊後の革命を無効化しようと試みていると主張。民族的・宗教的な対立を煽るイスラエルの行動が、シリアの安定化を妨げていると批判しました。
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(アンタルヤ外交フォーラムで握手するエルドアン・トルコ大統領(右)とシャラア・シリア暫定大統領)
このフォーラムで、エルドアン大統領はシャラア暫定大統領と会談。トルコは暫定政府の主要支援国であり、両国の協力関係を改めて強調しました。 シリア情勢専門家、東京大学の中東研究センターの佐藤教授(仮名)は、「トルコの支援はシリア暫定政府にとって不可欠であり、この会談は両国の強い絆を示すものだ」と分析しています。
トルコとイスラエル:緊張関係の再燃
皮肉なことに、この非難はトルコとイスラエルがシリア情勢の緊張緩和に向けた協議を開始した直後に出されました。両国はシリア内戦において異なる立場を取り、影響力争いを繰り広げてきました。イスラエルは国境地帯におけるシリア軍のプレゼンスを懸念し、空爆や地上侵攻を行ってきました。この軍事行動はトルコから批判を受けており、両国の関係は複雑化しています。
トルコの軍事拠点設置計画とイスラエルの攻撃
報道によると、トルコはシリア国内に複数の軍事拠点を設置する計画を立てており、その一つがホムス県のT4基地内とされています。この基地は先週イスラエルの攻撃を受け、緊張がさらに高まっています。この攻撃について、佐藤教授は「イスラエルはトルコの軍事プレゼンス拡大を警戒しており、この攻撃は牽制の意味合いが強い」と指摘しています。
シリア和平への道のり
エルドアン大統領の発言は、シリア和平への道のりが依然として険しいことを示しています。イスラエル、トルコ、そしてシリア国内の様々な勢力の思惑が複雑に絡み合い、事態の収束を難しくしています。今後の動向に注目が集まります。
エルドアン大統領のイスラエル非難は、シリア情勢の複雑さを改めて浮き彫りにしました。和平への道筋はまだ見えず、関係国の今後の対応が重要となります。