トランプ米大統領は29日放送の米FOXニュースのインタビューで、日本に対する自動車分野での巨額の貿易赤字に改めて「不公平だ」と強い不満を表明した。日米間の関税交渉が7月9日までに不調に終わった場合、米国が日本に課す新たな関税率を示した書簡を一方的に送りつける考えも示唆した。
米国からの対日貿易赤字への不満
トランプ大統領は、米国が日本から数百万台の自動車を購入しているにもかかわらず、日本が米国製自動車をほとんど購入しない現状を指摘し、「それは不公平だ」と主張した。この点については、日本側にも説明し、理解を得ているとの認識を示した。また、米国が日本に対して大きな貿易赤字を抱えているという事実についても、日本側は認識していると述べた。
赤字削減のための要求と関税措置の可能性
貿易不均衡を是正する手段として、大統領は日本が米国産の石油を大量に購入できることや、その他にも購入可能な品目があることに言及し、米国からの輸入拡大を改めて要求した。さらに、現在停止されている「相互関税」上乗せ措置の停止期限である7月9日までに合意が成立しない場合、多くの国に対して行ったのと同様に、日本にも新たな関税率を記載した書簡を送る可能性があると表明した。ただし、その具体的な内容については、「自動車に25%の関税を支払うことになるだろう」と現行の関税率に触れるにとどめ、7月9日以降に上乗せ分の停止を延長するのか、それとも再発動するのかについては明確にしなかった。
2025年6月27日にホワイトハウスで記者会見を行うトランプ米大統領
最近の日米関税交渉の動向
日米間の関税交渉を担当する日本の赤沢亮正経済再生担当相は、これに先立つ27日と28日に米ワシントンを訪問し、ラトニック商務長官と協議を行った。この協議では、日本側から自動車関税の撤廃あるいは引き下げを改めて強く求めたものとみられている。
自動車貿易における具体的な数字
米商務省のデータによると、2024年の米国の対日自動車貿易(部品を含む)における赤字額は約530億ドル(日本円で約7兆6千億円)に達している。これは、米国から日本への輸出額(約23億ドル)に対して、日本から米国への輸入額(約553億ドル)が大幅に上回っているためである。
今回のトランプ大統領の発言は、日米間の貿易摩擦、特に自動車分野における不均衡問題が依然として深刻な課題であることを改めて浮き彫りにした。7月9日という期限が迫る中、今後の両国間の交渉の行方が注目される。